カニクリームコロッケ VS 自然派無添加ワイン
これだけグラスワインがあると、オーダーした料理ごとに合わせる銘柄を変えていく……なんて実に乙でシャレオツで通な飲み方ができてしまう。ボトルしかないとこうはいかない。よほどの酒豪か、大人数で寄ってたかるかしないと、二つ目の銘柄に進めない。
なので、人として乙でシャレオツで通なのかは怪しいが、編集長D、料理ごとにワインを合わせてみることにした。まあ実際には、お店の方に料理ごとにワインを「合わせていただいた」と言う方が正確だが。
まず登場いただいた一品がこちら、「カニクリームコロッケ」! 最初から真打ち・鉄板焼きを頼むなんて野暮なことはしませんよ、ええ。しかし、もちろんこのコロッケさんも前座のレベルをはるかに超越した美味であることは確かで、もう論より証拠、ご覧いただこう。
……サクッ……。
……トロットロ……。
もうね、カニがね、たっぷり。この世界のすみずみまでがカニで満たされている感じ。ものすごい幸福感。濃厚な幸福感。
で、迎え撃つワインがこちら、「ディナボリーノ」。
イタリアの白ワインだが、ご覧の通りの琥珀色が面白い。酸化防止剤無添加の自然派ワインということで、この日のお店の「今日の一押し」リスト最上段にも堂々のランクイン。
香りは上品な中にも素朴さを感じさせる落ち着いたもので、個性の強そうな見た目ほどとんがってはいない。が、口に含むとやはり「主張」があるようで、まず舌がちょっとだけシビレる。ジンジンしているところにブドウの甘味がジワッと染みてきてうまいが、ただ甘いのではなくけっこうな渋味を伴っている。
この渋味、これがカニクリームコロッケの濃厚なコクといい距離感でマッチする。甘々なワインだとどっちもひたすら甘々になってアママママってのけぞるしかなくなるし、辛くてキレるワインではおそらくただケンカをして終わるのではないか。素晴らしいマッチング。グッジョブ。