「糖分の塊」対「伊達」
と、私の身の上、いや舌の上話はどうでもいい。そんなお子ちゃま呑兵衛であるところの編集長Dが今回おすすめする「酔い足し」ネタ、それはプリンである。用意したのは濃厚な「卵」感が全開状態のプリンというのか、クレマカタラーナというのか、とにかく最高に甘っとろい編集長D好みの糖分の塊だ。
これに何をするかと言えば、ウイスキーをかける。
銘柄はニッカの「伊達」。宮城県限定販売の1本で、宮城峡蒸溜所のモルト原酒にグレーン原酒もブレンドし、甘さとまろやかさが際立つ仕上がりだ。その甘いマスクのイケメンぶりは、「ウイスキー×ツマミ210番勝負」の(5)を参照されたい。ちなみにその企画で「伊達」に合うツマミ第2位にランクインした(というか私が独断で2位にした)のが、何を隠そうプリンだったのである。
甘いマスクの二枚目が実にいい仕事をする
プリンにかけるウイスキーは、「余市」や「ラフロイグ」や「タリスカー」といった塩気、薬品感、スモーキーフレーバーが特徴の銘柄だとちょっときつい。「プリンに醤油をかけるとウニ」のような結末にはなるかもしれないが、今回求めているのはそういうゲテモノ的な危うい橋を渡るスリルではない。必要なのは、ただこのお子ちゃまの舌を持つオッサンを心底満足させる、その一点である。
その点、「伊達」の二枚目な甘さは実に適任。ダル甘で最高なプリンが、いっそうダルダル甘々になって最高最高なのだ。しかし単純に甘いだけではない。ウイスキーを垂らしてプリンをスプーンですくい、口元に運ぶとき、そして口に入れてから呑み込む間際、鼻腔をそろそろと上ってくるアルコールの臭気が満ち足りた幸福感を運んでくる。
これを楽しむためにも、やはりかけるウイスキーはストレートでなくてはならない。というよりも、ストレートの「伊達」とプリンを交互に口にすればよい。……あ、それだと「酔い足し」の趣旨から外れるのか……。まあ何にせよ、甘めのウイスキーならプリンへの「酔い足し」はハマるだろう。基本的にはメープルシロップが合うものなら合うと考えて良いので、ワッフルやパンケーキ、フレンチトーストなんかにもこの「酔い足し」技法は使える。
まあ私なら、右手に業務用のホイップクリームの絞り袋、左手に「伊達」のボトルを持ち、それをあんぐり開けた口の真上に持ってきて……、心ゆくまで……(恍惚)……。はい、読者諸氏が引いてるんで、やめましょうね。早く大人になりたい! 編集長Dでした。