年越しには、どんなお酒を飲みますか? もちろんそれぞれが、ビールだったり、ワインだったりと、つまみに合う自分の好きなお酒をいただくのだと思います。とはいえ、やはり「年越しといえば日本酒!」という方は多いのではないでしょうか。
今回、私が特に好きな日本酒3銘柄の中で、どれが最も年越しに相応しいかということを調べてみたいと思います。またアテは、蕎麦と刺身を用意しました。どちらも年越しによく食べられるものなので、これらの料理との相性の良さも、年越しに相応しい日本酒には不可欠となってきそうです。
年越しに飲みたい日本酒の候補3本
では、本日用意した日本酒をご紹介いたしましょう。1本目の日本酒は屋守です。「おくのかみ」と読みます。こちらは、東京は東村山市で作られている日本酒です。
【銘柄】屋守 純米中取り 無調整生
【種類】純米酒
【酒米】八反錦
【日本酒度】-2
【酸度】1.6
屋守には、微弱ながらも発泡性があり、小ぶりな甘みを伴った酸味が、実に心地良く舌の上で躍ります。また、後味には膨らみのある旨味と苦味があり、それが屋守の味わいを奥深いものにしています。
次は相模灘です。こちらはその名の通り、神奈川県相模原市で作られている日本酒です。
【銘柄】相模灘 特別純米
【種類】純米酒
【酒米】美山錦
【日本酒度】+2
【酸度】1.6
相模灘は、日本酒度こそ+2ですが、柔らかな甘みを感じさせるお酒です。また、旨味が強く、お酒の味が口内からスッと引いていく際に、旨味だけがほんの一瞬、残るイメージがあります。相模灘は華やかさと実直さを併せ持つお酒と言えます。
最後は澤乃井です。澤乃井は東京都青梅市で作られています。
【銘柄】澤乃井 特別純米
【種類】純米酒
【酒米】しらかば錦
【日本酒度】+3
【酸度】1.6
澤乃井はお米の味わいがしっかりと感じられる日本酒です。お米の旨味の強さを、硬派で芯のあるボディが支えている印象で、素朴でありながらも洗練された日本酒です。
そばに合うのは? 刺身に合うのは?
では、それぞれの日本酒と料理の相性はどうか。蕎麦は冷たいもり蕎麦を用意しました。そば粉の豊かな風味と、甘みを伴った膨らみのある穀物の旨味は、3つすべての日本酒とよく合います。
中でも、相模灘のお米の旨味と、蕎麦の穀物の旨味の相性は抜群です。また、蕎麦の香りと相模灘の香りが渾然一体となって鼻から抜けていく様も、大変に素晴らしいです。とはいえ、やはり蕎麦はどんな日本酒ともそれなりに相性が良いようです。
次に、刺身ですが、こちらは相模灘、および澤乃井との相性が特に良かったと思います。屋守は風味が華やかすぎて、魚の旨味を少し消してしまうと感じました。特にイカの刺身と相模灘の相性は良かったように感じます。
年越しに飲みたいのは相模灘
蕎麦と刺身との相性としては、3つの中では相模灘が最も良かったと感じました。また、年越しは、長時間お酒を楽しむ方も多いと思います。そういった側面からも、複雑な味わいを持ちつつも、個性が強すぎない相模灘は、飲み飽きも飲み疲れもしないため、年越しのお酒に相応しいのではないでしょうか。
今回は関東の日本酒3種類を、年越しに相応しいものという観点から飲み比べてみました。全国津々浦々には、膨大な数の日本酒があります。そして、それぞれの方が好きな日本酒も十人十色でしょう。
その中で、もし、年越しに飲む日本酒をお悩みの方がいましたら、是非とも、「複雑な味わいを持ちつつも、個性が強すぎない」という観点から日本酒を選んでみてください。それでも迷った場合は、是非とも相模灘を飲んでみてください。きっと年越しを素敵なものにしてくれると思います。