誰かに言いたい!【2】天ぷら・立呑みのハードル低っ!
さてこんな“シェア欲が刺激される”「喜久や」さんですが、お店のコンセプトはどういったきっかけで生まれたのでしょうか。
「立呑みは海外にも発信できる日本の文化だと思っていて、このスタイルには元々関心を持っていました。では立呑みと何を組み合わせるか、と考えて行き当たったのが天ぷらです。これはお店を始めてからわかったことでもありますが、夜にお酒を飲むシーンで天ぷらを食べている人って、意外と少ないんです」
「特に女性は、ランチで食べるとか、お蕎麦屋さんで頼むとかはあっても、専門店でちゃんと食べた経験が少ない。でもおいしい天ぷらは、皆さん食べたいんですよ。そこで立呑みと合わせることで、天ぷらに感じているとっつきにくさを変えられるんじゃないかと考えました」
確かに寿司なんかに比べると、天ぷらって選択肢が少ない気がしますね。おいしいものを食べようと思うと、ものすごく高いというイメージになってしまう。それに加えて、油を使うのでヘルシーなのかしらと思ってしまう女性も多いでしょう。いろいろとハードル、高いですね。
「まず価格帯については立呑みスタイルにすることでかなり抑えられています。天ぷらをしっかり食べてお酒を何杯か飲んで3~4千円、といった感覚ですね」
「そして当店の天ぷらは油切れのよい揚げ方にこだわりがあって、衣に油が吸着せずカリッと仕上がるので、お客様には『胸焼けしなかった』『もたれる感じがしない』とよく言っていただきます。それに、食材の良さを損なわずに一気に過熱する天ぷらは、旬の野菜や魚介がきちんと味わえる、そもそも健康的な考え方にマッチした料理なんです」
全然胸焼けしない天ぷら、けっこう食べて飲んでも5千円でおつりがくる……、なんて誰かに言われたら、ちょっと気になってしまいますよね。実際「知り合いがそう言っていたのを聞いて来ちゃいました」というお客様も多いのだとか。
「天ぷらのハードルを下げて、立呑みのクオリティを上げる。二つを組み合わせる狙いはそこですね。そうして女性が一人でも気軽に入れる、全く新しい洗練された空間をつくろうと始めたのが『喜久や』です。このコンセプトは有難いことに多くの方に受け入れていただいていますね」
お客様の中には「人生で、今がいちばん天ぷら食べてますよ」という方もいるそうですが、この声、「喜久や」さんの人気ぶりをリアルに表しているかもしれませんね。
ということで、感度の高い恵比寿人たちのハートをつかみ、さらに人が人を呼んで繁盛中の「喜久や」さん。「知り合いに教えたら『私も連れていけ』と言うので今日は連れてきました」という“引率パターン”も増加中です。(2)では、お待ちかねの天ぷらとお酒の数々をご紹介。一度口にすると、これまた誰かに言いたくなりますよ!