【冬の季語「焼き芋」をつまみに家飲み(2)】たまたま家にあったというだけの「角ハイボール」と「ただの焼き芋」……この関係に必然性は見出せるのか?

【冬の季語「焼き芋」をつまみに家飲み(2)】たまたま家にあったというだけの「角ハイボール」と「ただの焼き芋」……この関係に必然性は見出せるのか?

【冬の季語「焼き芋」をつまみに家飲み(2)】たまたま家にあったというだけの「角ハイボール」と「ただの焼き芋」……この関係に必然性は見出せるのか?

寒空が広がる2月の休日の昼下がり、ひとつ昼から飲みたいけれども、こう寒いんじゃあ家を出るのはめんどくさい。冷蔵庫を開けてラインナップを確認するも、たいしたものは入っておらず、どの酒とも合いそうにない。

こんなときどうするかで、人はふたつに分かれます。仕方がないので馴染みの店に明かりが灯る夜になるまで待ってから家を出る者、出ずにいまあるものだけで飲もうとする者。私は後者です。

その日、家にあったのは……

家にあったハイボール

よし、ハイボールだ! この二品が組み合わされば向かうところ敵なしです。われら、メーカーは違えども志す旨さはひとつ、って感じ。

そして、もうひとつ家にあったのは……

家にあったさつまいも

そう、ふたたびのさつまいも。

ざわ……ざわ……。
まさか、焼き芋でハイボールを飲もうってのか、俺は……。

焼き芋でハイボール

ということで、いまだ見たことのない絵面が完成しました。

なんだろう、まだ黒霧島のお湯割りと合わせたときは芋繋がりで納得感があったけれど、これはもはや完全な他人同士ですね。書類だけで決められた街コンみたいだ。なんだろう、いっそワクワクしてきたぞ。

とりあえず食べる

前回の失敗を活かし、ネットでおいしい焼き芋のつくりかたを調べつくした筆者に隙はなかった。90分かけてじっくり弱火で火を通した焼き芋は、とろりとした口当たりでやさしい甘み。おいしい。

さつまいも

しかし、ハイボールに手が出ない。べつにいらないのである。味に対して、あっ、酒くれ!とならない。あん肝とかうるかとかくちこの対局にある味だ。

そりゃそうだ、芋は主食だ。分類としては、白飯とかパンとかだ。そういうものをアテに酒を飲むというのはひとつの暴挙である。

さつまいも

が、その暴挙に臨む。焼き芋を一口、それからハイボールを一口。

うむ?

うむ。

焼き芋とハイボールである。

喧嘩もしないし仲良くもならない。いやよいやよも好きのうちと言うけれど、こいつらはお互いに対してものすごく無関心な感じだ。共通の話題が見つからない。両者ともお互いを無視している。誰だ、こんなテーブルをセッティングした奴は?

助っ人を投入

このままではお話にならないので、なにか変化をつけたい。そう考えた筆者は、ふたたび冷蔵庫に向かった。いかなごの釘煮、うめぼし、のりの佃煮などが散見されるものの、戦局に変化をつけ一気に打開できそうな者はいない。あきらめかけたその時、野菜室の奥のほうからカボスが転がってきた。

暁光!

ハイボールにはレモンが入っていることがあるわけだから、おなじ柑橘系であるカボスを入れてもなんら問題はないはずだ。はずなのだ。

そういうわけで、スライス。

レモンをスライス

そして、投入!

レモンのスライスを投入

おいしくなりました。

しかし、なんというか、お気づきかとは思うが、これはただハイボールをすこし男前にしただけであって、焼き芋との戦局にはほとんど変化なし。

焼き芋に塩をすこしつけてみたりもしましたが、甘さがすこし上品な美人になっただけで、これも影響なし。

街コンのテーブルは冷えたまま、時は流れていくばかり。いつしか筆者は、半分ほど残った焼き芋を凝視しながら、ちびちびとハイボールを飲んでいました。焼き芋の造形って、いいよね。アテになるな。いつまでも見てられるぜ。

失敗からつづく成功の道

しかし、多大なる失敗の山のうえに成功は築かれるもの。ウイスキーだって、焼き芋だってそうです。そしておそらくこの世界中に、ハイボールと焼き芋のマリアージュを試した人間などいないと思います……いや、いるかな?

ウイスキー

いるにしてもいないにしても、こうしてさまざまなマリアージュをいろんな人が試した結果、おいしい組み合わせというものが確立されていったわけなのです。先入観にとらわれず、なんでもやってみる好奇心。これこそが、人類の酒宴をここまで発展させた鍵であります。

読者のみなさまにおかれましても、家にあるものを検分して「これは合わないから今日は外食にしよう」と諦めるのではなく、なんでも試してみれば、きっとあたらしい発見があるはず。

組み合わせとして考えれば、近所の小さいスーパーに置かれているすべての商品を試すことさえ、一生かかってもできないわけです。新しい味の眠れる金脈は、あなたの家の台所にあり。そういうわけで、みなさんもぜひいろんな組み合わせを試してみてください。

さつまいものマリアージュ

ただし焼き芋とハイボールはべつにもう……、いや、ひょっとするとこの結果から何かを学び、イノベーションを起こして、焼き芋とハイボールの関係を新しい次元に導く人が現れるかもしれない。期待しております。

以上、マリアージュ探検隊からのレポートでした。