我がなめろう研究室へ、ようこそ
「なめろう」……この甘美な響き、魅惑のサウンド。何度でも口に出して言いたい、なめろう、なめろう……。どうだい、君もそう思わんかね。後ずさりしなくたっていいじゃないか。ここに足を運んでくれて、私は嬉しく思っているのだよ。ようこそ、バッカス大学ツマミ学部、なめろう研究室へ。君はこのラボへやってきた、16年ぶりの学生だ。ヒャッヒャッヒャッ。
なめろうの定義は知っているかね。「なめろうとは、房総半島沿岸部周辺などに伝わる郷土料理で、たたきの一種である。保存は利かず、調理後すぐに食すのが普通である」……うむ、ウィキペディアの完全コピペ、ありがとう。しかし安心したまえ、それ、私が書いたやつだ。なんてね! ヒャッヒャッヒャッ。
なめろうと聞いて、たいていの人が思い浮かべるのは、まあアジやイワシだろうね。それらを叩いたものがなめろう、と思っている人も少なくない。だがね、私の知る限り、何らかの食材に味噌ベースで味を付け、あとは叩いて叩いて叩きまくって叩いて叩かれて叩き返して原形をとどめなくなるまで叩いて叩いて、ヒャーッ!……失礼、ハアハア、ちょっと興奮してしまったが、ハア、とにかく叩けば何でも「なめろう」なのだよ、ハアハア。
いささか喉が渇いた。君、そこの液体を取ってくれ。ビーカーにC2H5OHと書いてある、それだ。何を躊躇している? そうだよ? 純度100%のエチルアルコールですが? 何か? 私はね、どうもH2Oが合わなくてね。いいから早くしたまえ、ほれ、よし、(グビグビ)、プハーッ。これじゃないと体が潤った気がせんのだよ。
ツマミとしての可能性を追求しまくる