【ソムリエ VS アンダー500円ワイン】プロが真剣に考えるワンコインワインの実力チェックとマリアージュ(2)白ワイン編

編集長Dである。さて前回赤ワインをチェックした記事に続き、ガチのソムリエさんによるU-500円ワンコインワインのテイスティング企画である。今回は白ワイン3本の実力をチェックする。

で、こんな悪酔いした安酒飲みの思い付きのような企画のために召還されてしまったソムリエさんがこちら、今回もお付き合いいただく藤牧和哉氏だ。

いつもは銀座のバーに立たれている正真正銘のワインのプロである。そんな方に1本500円もしないワインの寸評をお願いするという……、バッカス編集部もまあ無茶なことを考えるものだ。酒の神に魂を売り渡すと、“無茶”に対するハードルが異様に低くなるから困ったものである。

では1本目、サントリーの白

ではワンコイン白ワイン、1本目はサントリー「デリカヴィータ(白)」。

前回の赤ワインでも1本目だった「デリカヴィータ」のホワイト。さてさて藤牧氏のコメントは、「ああ、これはですね、キリッと冷やすとたぶんいい感じですね」……おふ……、これはこちらのミステイク。コンビニで買ってきたまま、ほぼ常温で注いでしまったもんで……さーせん。「この温度だとフルーティーな甘味が強く出て、それはそれで好みという人もいると思いますよ。後味のアルコール感もフワッと立ってきますし」とフォローまで、さーせん。

「でも甘いのはジュースっぽくてちょっと……という人は、これを冷やすと甘味がぐっと抑えられ、常温だと控え目な酸味がおそらくもっと出てくるので、白ワインならではのスッキリとした味わいが楽しめると思いますよ」ほほう、ワンコインワインも(いや、ワンコインだからこそ?)温度がポイントということか。「基本的にクセのない味わいなので飲みやすく、スイスイいけちゃうワインです。値段を考えれば、なかなかのお得感じゃないでしょうか。もっと高いフランスやイタリアのワインでも、たまに残念なのがありますからね」ぶっちゃけ話をサラッと挟みつつ、合いそうな料理については「定番すぎてごめんなさいですが、魚介のマリネあたりで……」と恐縮気味。いやいや、クセがない直球の白なんだから、そりゃ定番にもなるわけで、大丈夫っす。

2本目は本場ヨーロッパから、スペインの白

続いて2本目、「ヴェラタ メルセゲラ ソーヴィニヨン・ブラン」。原産国はスペイン。イオン系のスーパーで見かける一本だ。ちなみに「メルセゲラ」と「ソーヴィニヨン・ブラン」はブドウの品種名。

まず香りを嗅いで藤牧氏曰く、「ハーブのニュアンスを感じますね」さらに嗅いで曰く、「あと……青りんごの香り」さらにグラスを少し回して曰く、「ちょっと開かせるとハーブの香りが優しく変わりますね」これだよ諸君、これこれ。これがソムリエのテイスティングというものだよ、諸君。酔っぱらった素人が見よう見まねでグラスをクルクルするのとは、わけが違うのだよ。

「スペインのワインは、明るい太陽の下で育った柑橘類のような、パッと明るくはっきりした個性を持っていたりするのですが、このワインはそこまでギラギラした感じはなくてスッキリと飲める味わいです。後味の余韻もクドさが残らず、スーッと引けが早い印象ですね」情熱の国にもちょいクールな奴はいるってことだ。そしてそんなクールなワインはとことんクールにして味わうのもいいらしい。「これから夏にかけては、思い切って氷を入れて飲んでみるのもアリだと思います。料理も鯛のカルパッチョだとか、脂っこくない食材を使ったサッパリ系のものと合わせたいですね」

最後は南米チリのシャルドネ&延長戦も?

そんでもって最後の3本目、「コスタネラ シャルドネ」。こちらは南米チリ産。やはりイオン系スーパーで入手。そして「シャルドネ」はブドウの品種名ね。

グラスに注ぐとやや黄色味がかっているのが特徴。スペインの「ヴェラタ」ではちょっと控え目だった太陽ギラギラ感が、この「コスタネラ」ではパキッと出ているらしい。「これは柑橘のニュアンスが割と強く感じられます。もっと言うとパイナップルとか、パッションフルーツとか、トロピカルな明るさも見え隠れする感じですね」シャルドネは一般には辛口で知られるが、同じ品種でも生育地によって違った性格を示すことがあるという。中でも南半球のものは、やや酸味に寄った柑橘的な風味が強く出たりするのだとか。

「ボディもしっかりしていますし、飲み込んだ後にはアルコール感がフワリと残ります。全体として線の太さというか、はっきりしたキャラクターを持っているので、白ワインですが肉料理にも負けないと思いますよ」とはいえ重厚すぎるメニューにはやっぱり少々押されるということで、藤牧氏セレクトは……「鶏むね肉のサラダあたりがベストじゃないかと。調理済み(細かく裂いてサラダに混ぜるだけで完成)のチキンがよくコンビニやスーパーにあるので、このワインを買うときに一緒にゲットできますし。ハーブで味付けしてあるチキンなんて最高に合うはずですよ」

……ということで、2回にわたってお届けした「もしもソムリエがワンコインワインを寸評したら」シリーズ、いかがであったろうか。500円以下と侮るなかれ、それぞれに個性と見どころ(飲みどころ?)のある7本だった。ワインの入門編としても、気軽な家飲み用としても、さらにペットボトルタイプならこれから夏にかけてのアウトドアシーンでも重宝しそうだし、スプリッツァー(炭酸割り)のようにアレンジをしても楽しめる。諸君もお気に入りの一本を見つけたいなら、早速500円玉を握りしめてスーパー・コンビニの酒類コーナーへGOだ。

……そして、クドいことにこの企画には延長戦があり、実は我らが「バッカスの選択」スピンオフ商品「ミズナラスティック」で“棒熟成”させたウイスキーもソムリエさんに試してもらった。そう、編集部による藤牧氏の拘束はまだ終わらないのである。延長戦の模様は次回記事にて詳しく!