「ヱビス 華みやび」を先行試飲
いつものように長いイントロを経て、ようやくここからが本題だ。サッポロビールのプレミアムブランド「ヱビス」に新味が登場する。これまでも「琥珀」「シルク」など多彩なバリエーションが愛飲されてきたヱビスだが、今回は「100年以上のヱビスの歴史で初めて」の試みが惜しげもなく投入された新商品。それが「ヱビス 華みやび」だ。
3月7日に新発売なのでまだ出回っていないが、今回特別に、寒さに凍える編集長Dの心を温めようと試飲が許可された。なんという寛大な計らい。あらゆる神仏に毎日祈った甲斐があった。
さて何が「100年の歴史で初めて」かというと、ヱビスシリーズで初めて「上面酵母を採用した」ホワイトビールであるとのこと。最近はクラフトビール人気などもあって、ビールにもいろいろな味・香り・色があることがよく知られるようになってきたが、その中でも(日本人にとって)オーソドックスなビールは「下面酵母」で発酵されることが多い。スッキリ爽やか系の風味になる。
対して「上面酵母」で発酵したビールは、一般に華やかで甘い香りがふんだんに立つのが特徴。より“クラフトビールらしい”風味になる。では、その上面酵母を採用した「ヱビス 華みやび」はどんな味わいか。早速グビってみる。
確かに最初に甘めの香りが鼻腔に抜けていく。バナナのような香り。これ、どこかで出会った感じだと思ったら、あれだ、あれあれ、ヴァイツェン。クラフトビールの中でもわりとメジャーな小麦ビール「ヴァイツェン」タイプが、よくこのバナナ香を醸す。
「ヱビス 華みやび」には小麦麦芽が一部使われていることもあり、全体的な第一印象はやはりヴァイツェン感が強い。華やかでやわらかく、女性にも飲みやすい味わい。と、言いつつ漁師風のおっさんが飲む写真を性懲りもなくまた投下する。
そう、やっぱりおっさん的にはビールはコクとキレなんだよな、という“保守派”も多いと思うが、ご安心を。「ヱビス 華みやび」はヴァイツェン感でスタートした後、ノド越しと後味にかけては“いつものヱビス”がちゃんと追いかけてくるので、しっかりした苦みと深いコクが飲後感として残る。保守層の支持も逃さない美味い戦いを演じている。ガーサス。
サッポロビールが誇る1,000株以上の酵母バンクの中から約2年半の歳月をかけて選抜された「ヱビス上面酵母」。アイドルグループのセンターが選抜されるよりも過酷熾烈な競争をくぐり抜けてきたその風味は、華やかで、なめらかで、ふくよかで、厚みがある。
肉料理もいいが、サーモンのマリネとかガーリックシュリンプとかカツオのたたきとかイワシのフリットとか、魚介系もかなりイケると思う。“新しいヱビス”が実感できるホワイトビール「ヱビス華みやび」は、繰り返すが3月7日(火)全国発売だ。ノドを乾かして待て。