【大阪の寿司は野田にあり?】『沼島港』でタコ、サザエをアテに日本酒「菊正宗」をひとり飲み

のれんが出ているのだから大丈夫。怖がらずに突撃しましょう

JR大阪環状線野田駅から徒歩1分のお寿司屋さん、『沼島港』でお酒をいただきました。

おしゃれな空間が広がる梅田から二駅。オールドファッションな雰囲気の店構えで、のれんをくぐるにはすこし勇気が必要です。

がんばって入店すると、フレンドリーなお姉さんのお出迎え。「今日は何にする?」と、はじめて来たのに常連さんのように接してくれます。(誰かと勘違いしていたのだろうか?)

寿司にはやっぱり日本酒でしょ、ということで冷酒を注文。『菊正宗 樽酒』を冷でいただきました。ベーシックな酒ですが、いい塩梅の冷え具合で、つきだしのカニとタコの酢のものによく合います。

「きょう上がったええもんしか置いてへん」正直すぎるお寿司屋さん

お腹が空いていたので、さっそく上にぎり(2,000円)を注文。大将にお話を伺うと、「きょう上がったええもんしか置いてへんねん」との事。

たしかに、掲げられた板のメニューには「大トロ」とか「ブリ」とか書かれていますが、聞いてみると「あらへんねん」ですって。

しばらくすると上にぎりが到着。

上からホタテ、カニ、タコ、うなぎ、穴子、中トロ、さより、マグロです。

いちばん印象に残ったのは、タコ。こりこりとした独特の食感ながら、噛むたびにやわらかくほぐれ、口の中で細かく分かれていきます。まんべんなく塗られたタレは、醤油ベースに酒のうまみと、ほんのすこしの砂糖の甘さが感じられ、辛口の菊正宗のさわやかさが引き立ちます。

瀬戸内を擁する関西だけあって、なかなかのお味。「いま(九月)は子ダコのほうが柔らかくてうまいねん」とのこと。詳しいですねとツッコむと、もともと漁師をされていたとのこと。魚の選びかたや鮮度について、近所のスーパーの魚の質について(!)など、経験者ならではの面白いお話を聞かせてくれました。

寿司屋のアテはいつも旨い。瀬戸内のタコを満喫

もうすこし飲み足りないな、ということでアテ(関西弁で「おつまみ」)を注文。タコがおいしかったからちょうだい、とリクエストすると、カウンターのケースにおさまっていたタコをぜんぶ酢の物にしてくれました(笑)。

ちょっと多いかなと思いましたが、お酢の味もまろやかで、歯ごたえがありながら柔らかく、とてもおいしいタコだったので、ぺろりと平らげてしまいました。

同時に注文していたサザエの壺焼きは、食べやすいサイズにカットされていて、海の旨みがいっぱいにつまった逸品です。素材の良さもさることながら、味付けもすばらしい。酒と醤油がベースですが、あまりきつくない関西風で、もしかすると水で加減しているのかもしれません。肝にもまったく臭みがなく、噛んでいるとじんわりと滋味が溢れてきます。

お腹いっぱいになったものの、冷でいただいた日本酒が止まりません。食べ終えたあとも、こっそりと盛り塩を小指につけて舐めながら、お酒をいただく始末でした。

これだけ食べて、生ビール1杯と冷酒2合で5,700円。「となりの福島(駅)に比べて、この町はあんまり流行ってないからね」と寂しそうなセリフもありましたが、いやいや大将、この味と菊正宗があればやっていけますよ。また来ます!