シソのクセのある香りがたまらない「かをり巻」
先日、編集長Dと小田原へ遠征してきた。土産として、宮城峡のアテに笹かまを買おうと思っていると言うと、ウイスキー伯爵の編集長Dからアドバイスをもらった。
「宮城峡なら、クセのあるものがいいですよ」
ジャパニーズ・ウイスキー特集の、ウイスキーとつまみの210組み合わせものマッチングを見極めていた彼の口から出た言葉だ。ねばりづよく、地道に、そして真摯に食べ比べ、飲み比べしている姿を目の前で見ていたこともあり、説得力が違う。間違いない。そう思い、クセのあるつまみはないかと土産コーナーを物色していると、見つけた。シソの葉で巻いたかまぼこを揚げてつくった「かをり巻」である。
シソの独特な香りと宮城峡の甘さが調和する旨さ
香草と呼ばれるものの中でも、ややクセのあるものが大好物だ。パクチー、春菊、ミツバ、セロリ、ミョウガ、そしてシソ。かをり巻に使われているシソは、魚のオリジナル肥料で育てられたものだという。淡白なすり身にパンチを与えてくれる存在で、クセのあるつまみと言えるだろう。
食べてみると、米油で揚げていることもあり、揚げ物にありがちなしつこい脂っこさはほとんど感じない。プリッとしたかまぼこの食感を楽しんだ後に、クセのあるシソの薫香がスーッと鼻を抜ける。そこに、バニラ香の芳しい宮城峡を流し込む。シソの独特な香りと宮城峡の甘さが、お互いに主張し合うことなく、ちょうどいい感じに調和する。
さすが、ウイスキー伯爵の編集長Dだ。まるで、かをり巻を食べたことがあるかのように、ベストなマリアージュを伝授してくれた。小田原の蒸留所でつくられたウイスキーがあれば、なおすばらしいマリアージュになっただろう。海、山、川と自然が豊富な小田原だ。いつか、小田原ディスティラリーのウイスキーが呑める日が来るといいなと。