クラフトビール、きてますね~。流行ってますね~。呑兵衛&呑み姫の皆さん、もちろん飲んでますよね~。作られる国も、味も香りも色も、実にさまざま。その手作り感のある多彩な個性が魅力のクラフトビール。むしろ多彩すぎて飲んでも飲んでも一向に全貌を知り尽くすまでには至らない……、でもその「常に知らない世界がある」感じがまた、我々を惹きつけるんですよね~。
そんなクラフトビールをおいしい料理とともにたらふく楽しめるビアレストランが、東京・銀座にオープン。銀座ですよ、ザギンですよ、ザギンでルービーですよ、フトクラのルービー……、はい、はしゃぎすぎました。しかし、そのぐらいテンションを上げられてしまう立地&内容なんですね~。数量限定で日本初上陸のアイツやアイツなんてのもあったりして、いや~、「知らない世界」まだまだ見せられてしまいます。ということで編集長D、目と鼻と内臓で感じた全てをレポートいたします!
やっぱり銀座です、シャレオツです!
お邪魔したのは「Craft Beer Tap(クラフトビールタップ)」銀座マロニエゲート店。有楽町の駅からもほど近い商業ビル・マロニエゲートの11階に、5月20日にオープンしたばかりです。こちら、フロアの別の飲食店さんも何やらオシャレな、シャレオツなお店が並んでいるゾーン。クラフトビール専門店というと、ロンドンのパブ的なガヤガヤ雑然空間に、クラフトの魔界にのめり込んでしまったマニアックな猛者どもが窮屈そうに体を寄せ合っては、あっちでグビグビこっちでグビグビと杯を空けまくっていく野郎な世界を想像しますが、ここは女性も入りやすい、何なら「女性の方が」入りやすいぐらいの雰囲気ですね。
店内のインテリアも、パブ的な要素をベースにしながらも随所にセンスの良いアレンジが入っていて居心地が大変グッドです。
そしてお料理もまた女性には嬉しいアレやコレがそろっているわけですが……、それはまた後半で。まずはやっぱりビールのご紹介からまいりましょう。
ビールの万博とワールドカップがいっぺんに来た感じ
「Craft Beer Tap」の目玉は何と言っても独占輸入のクラフトビール、樽生で、15種類以上! さらにボトルのビールも合わせると世界のビールが50種類以上もそろっているという、このビール万博状態。たまりまへん。
で、この目玉の中のさらに目玉なのが、日本初上陸(!)の樽生ビール。これが3種類あります。いずれもホップの香りがしっかり出るタイプのIPA(インディアンペールエール)。ベルギーの「28ホワイトオークIPA」とイギリスの「シャンカールIPA」「ヤキマIPA」。色も乳白色から琥珀色まで、香りも華やか系から力強い系まで、同じIPAでもバリエーション豊かなトリオになっております。
ということでいただいたのは「ヤキマIPA」。アルコール度数7.4%ながら、苦みは控えめで飲みやすい一杯(だけにスルスル飲み過ぎは注意……)。イギリスでは華麗な受賞歴も持っているという実力派です。口に含むと、最初は「おや?甘いのか?」という感じで果実感が出てきますが、やや遅れてIPAならではの苦みが激しく追い上げてきます。後味に至ってはもう完全無欠のIPAですね。時間差攻撃にまんまとハマってください。
ちなみにこの3種類の初上陸組は、開店記念の意味も込めた「数量限定」です。もちろん無くなり次第終了ですので、お早めに!
さて、限定以外の定番樽生からも味見を、ということでイギリスのペールエール「クロプトン エンデバー」をゴクリ。色は日本でお馴染みのピルスナー系をちょっと濃くした感じですが、味わいは別路線のキャラ立ちを見せてくれます。ホップを4種類使用した香りが非常にリッチで、味は繊細でフルーティー。いい仕事してます。
こちらは「糖質ゼロ」のベルギービール「カウリエ エクストラ」。ベルギーのさっぱりしたホワイトビールを、いっそうスッキリさせたような爽快な一杯。マスカット的な香りもあって、どことなくシャンパン的なんですかね。それでいて「糖質ゼロ」ですから、嬉しいじゃないですか。いい仕事してます。
他にも厳選直輸入の樽生&ボトルのビールは目移りするほどの豊富さ。ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス、イギリス、チェコ、アメリカ、メキシコ……、そして日本の銘柄もあったりして、そのままサッカーのワールドカップをやってもおかしくない出場国ですね。次回また、対戦しに来たいと思います。
昼間っから? いいんじゃない? 糖質ゼロもあるし?
そしてお待たせしました、フードのご紹介です!「Craft Beer Tap」ではランチ営業もしているので、まずはランチメニューから。
ドイツの生パスタ「シュペッツレ」と特製ハンブルグステーキ。ステーキは「デミグラス」「和風」「トマト」の3タイプのソースが選べますが、写真はデミグラスバージョンです。ノンアルコールのドリンクもあるので、昼間っからちょっとグビグビ、モグモグ、いいんじゃないでしょうか!
で、お味見したのはシュペッツレ、打ちたて茹でたての生パスタです。ひき肉の定番ミートソース「ボロネーズ」、ピリ辛オリーブとアンチョビの南仏風ソース「キノコのタプナード」などいろいろと種類がありますが、今回は「ズワイ蟹のクリームシュペッツレ」をいただきました。あのですね、蟹、濃厚です。蟹、うま味がすごいです。蟹、コクがコクりまくってます。
先ほど飲んだビールから合わせるとすると、これは「カウリエ エクストラ」ですかね~。パスタが濃い目のボディ感で攻めてくるので、あっさりめのお酒で受けるのが良いのではないでしょうか。辛めの白ワインなんかでキリッと締め上げるのが上策なんでしょうが、その点「カウリエ」はさっき書いた通りで“シャンパン的”なのでピッタリですね。そして「糖質ゼロ」というのが、ランチなのに飲んじゃう罪悪感を多少やわらげてくれます。
ランチメニューは、他にもシェフおススメの週替わりのお肉料理やドイツ定番の直輸入ソーセージ3種のグリルなど、ジュージューと充実してます。もうノンアルコールじゃなくて、やっちゃいますか! 昼間っからフトクラのルービー! という感じです、はい。
乙女も野郎も納得の「トロプル」と「ジュワジュワ」
続いては夜のメニューから。まずは「美肌」です。え?何のことですか?という表情のそこのマダム、そしてマドモアゼル、「コラーゲン」です。「彩り」です。「野菜」です。「テリーヌ」です。
こちら、「彩り野菜の美肌テリーヌ」。もはや食べ物なのかコスメなのか判然としない、なんとも魅惑的な響きです。ドイツ定番の肉野菜煮込み「アイスバイン」の煮汁を使って、姫人参、ヤングコーン、ビーツなどをトロプルのゼリー寄せに仕上げた、コラーゲンたっぷりの一品。もうどの要素を切り取っても、女子に刺さりそうですね。もちろん編集長Dの乙女心もグッサグサです。
そんなフェミニンな印象のメニューですが、食べてみるとある意味ワイルドというか、野菜の味が素材ごとにしっかり出ていて、シンプルなサラダのようなフレッシュさがあります。これは合わせるならペールエールの「クロプトン エンデバー」でしょう。
4種のホップが織りなすフルーティーなフレーバーが、やはり植物由来のフレッシュさでもって野菜の風味に実によく馴染んでいきます。ビールっちゃあ肉だ肉だと言ってないで、たまには野菜と合わせるのもアリですね。と私の中の乙女サイドが言っております。
とはいえ、やっぱり肉だ肉だと野郎サイドが言っておりますので、お次は肉です。肉肉しいまでの肉です。
ドーン! バックリブ(豚の背中の肉)をオリジナルスパイスで骨付きのまま豪快に丸ごと焼き上げた、「バックリブのスパイシーロースト フライドポテト添え」でございます。このテリッテリの肉塊にまずかじりつくと、最初はピリピリ、スパイスが攻めてきます。それが次第に落ち着くと、やがて肉のうま味がジュワジュワ出てきます。危険な時間差攻撃ですね。
ん?時間差攻撃?と言えば、そう、合わせるビールは「ヤキマIPA」。あちらは最初甘くて、後味にかけて苦みが出る印象でした。一方こちらは、最初ピリピリ、後ジュワジュワ。お分かりですか? 両者を合わせると、ちょうど“スパイシー路線”と“マイルド路線”が時間とともにクロスして、常にいい感じのバランスが保たれるわけです。なんでしょうか。誰か計算したんでしょうか。偶然のマッチングだとすれば、酒の神・バッカスも粋なはからいをしてくれたもんです。
夜メニューはこの他、テリーヌ同様アイスバインの煮汁から作ったコラーゲンボール(トロプルの塊!)が入っている「温野菜のタジン鍋」や、ボリューム満点のポークスペアリブ、「Craft Beer Tap」定番のフィッシュ&チップスなど、約30種類のフードがズラリ。
もう昼も夜も、男子も女子も、ヨーロッパもアメリカも、野菜も肉も、美肌も糖質ゼロも、クラフトビールを楽しみつくすためのあらゆる魅力、要素、きっかけが銀座の一角にギュギュギュッと凝縮。そんな居心地・飲み心地の良すぎるビアレストランです。編集長D、たぶん出没しちゃいますね。皆さん、見かけたらお気軽に声かけてください。Dの名刺あげます。あ、でもテノールとバリトンの声には反応しない可能性があります。ご了承ください。ソプラノとアルトは歓迎します。ボーイソプラノ? 反応したら、それ、だいぶ酔ってるときです。