ふらりと入った雑貨屋さんで「最後の晩餐」の壁掛けを衝動買い。キリスト教を信仰している訳では全く無いが、「自分という人間は最後に何を食べたくて何を飲みたいのか!?」という究極の疑問が頭にわいた。これは重要な問題だから早目に解決した方が良さそうだ。いつが最後になるかなんて自分で分かるものでも無いだろう。今日が最後になるかもしれない。間に合わなかったでは済まされない! すぐに準備を始めることにした。
音楽好きの間にはレコードやCDをジャケットのカッコ良さだけで選んで買う「ジャケ買い」という行為があるように、ビール好きにも好みの顔、デザイン、佇まいというものがある。「せっかく味は悪くないのに、どうしてこんなデザインなんだろう?勿体ない」というものもたまに見かけたりする中、稲妻のように現れてくれたのがこの『SAPPOROホワイトベルグ』!
日本離れしている洗練されたデザイン。「美味いが高い」が常識のホワイトビールなのに100円台という驚愕のコストパフォーマンス! 満足感に包まれるにはうってつけのビールだ。喉が鳴る。早く飲みたい。
日本人のご馳走「お寿司」。やはり最後に食べるのは寿司以外考えられなかった。その中でもお手軽に買える「お寿司」として重宝される細巻き寿司だが、自分で巻いてつくる人はそう多くはないのでは? 1本100円位で買えるのに、わざわざ自分で巻くのでは割りに合わないかもしれない。だが、その手間に幸せが潜んでいる。空腹を満たすことだけが目的じゃないのなら、ひたすら時間をかけて巻きながら飲むのだ! 巻いて飲む。飲んで巻く。静かなお祭りが始まる。
特別な具材は必要ないのがこの料理の強み。コンビニに売っているような具材でもアイデア次第で十分「お寿司」を楽しめます。
普通の「カッパ巻き」の他に「キムチの素」でキュウリをあえてから巻いてみたり、マグロは安いマグロじゃ美味しくなかったりするので、醤油とわさびで「ヅケ」にするか、マヨネーズを塗って「トロ」の風味に近づけたりと、工夫して楽しむのがオススメ。お寿司につける醤油を「かき醤油」にするのもオススメです!
「何故こんなにもお寿司が好きなのか?」……食べてから1週間ぐらい経つと、もう頭の中がお寿司のことでいっぱいになっている。この激しい中毒性の原因を突き詰めると、どうやら自分は「酢飯」に中毒していることが判明。
お店や売り物のお寿司だと、酢飯の酢加減が好みとは微妙に合わない時がある。「今日はお寿司だ!」という、「これから俺はこの世で一番好きなお寿司を食べますよ!」と世界中に叫びたい気持ちになっている時に、酢飯が合わないという不幸。閉口したままじゃいられない。俺は物心ついた時からずっとダントツでお寿司が一番好きだった。「お寿司」がこの世で一番美味い食べ物であることに変わりはない。それなら自分が酢加減を決めれば良いだけのことじゃないか! 簡単な話だった。
『酒のツマミとしての細巻きの極意』……それはシャリを少なくすること! 米なのでツマミとしてはお腹がいっぱいになり過ぎてしまい、ビールがあまり飲めなくなってしまう。シャリは少なめ、酢加減は強めに仕上げれば、ビールを惹く力が強まり、延々と、それこそ朝まで延々と、チョイチョイチョイチョイ喜びのツマミ飲みツマミ飲みを繰り返すことが出来る。最後の晩餐というのに、「お腹がいっぱいです」だなんてギブアップ出来るか!
細巻きを巻く時は映画を観ながら巻きましょうか。単純作業だから観ながらでも巻けます。筆者が思う「細巻き寿司」というものはただの料理名ではなくて、巻きながら飲んで、食べて、巻いて、同時に映画を観ながら心を動かされたりする、一つの【細巻きという時間】なのです。「青春」のようなものです。この晩に一人で観たラブストーリーは、少女マンガが原作で赤面必至の衝撃のラストでしたが、なかなか思い出に残る、味わい深い【細巻き】タイムでした。