“普段の家飲みでもいけちゃう”が魅力のクラフトビールの缶シリーズ「Craft Label(クラフトラベル)」。このたび最新作「Craft Label 香り踊るジャグリングIPA」が発売になって、楽しみの幅がますます広がりました! クラフトビール初心者にこそ楽しんでほしい、このシリーズの見どころ・飲みどころ・味わいどころをエピソード(1)(2)とご紹介してきましたが、今回はさらに“合わせどころ”、つまり食べ物とのマッチングをシンキングしてテイスティングしたいと思いましんぐ。
さてエピソード(3)もお付き合いいただきますのは、ジャパンプレミアムブリュー株式会社のたった一人の「マスターブリュワー」新井健司(あらい・たけし)さん。「Craft Label」の“総監督”にして、麦芽とホップが渦巻く銀河のジェダイマスター。今回はシリーズ各商品と「食」の相性について、直々にご指導ご鞭撻を賜りました。
「Craft Label」のラインナップは現在3種類。それぞれの味わいは(2)をご覧くださいね。ということでトップバッターは「Craft Label 柑橘香るペールエール」。日本でよく飲まれるピルスナータイプのビールの“延長線上”にあるバランスの取れた味わいと、柑橘系のフルーティーな香りが特徴。クラフトビールは初めてという人も違和感なく楽しめる“ほどよい個性の強さ”があります。
「クラフトビールは全体に味が濃厚なものが多いので、料理もそれに負けないような濃い目のものが基本、合います。となると軸になるのはやっぱり肉ですね。比較的さっぱりしたベルジャンホワイト系には魚料理も合うと思いますが」
ですねですね。肉ですね~。ビールに肉、ジャストミート。もう肉々しいやつ、最高です。そんなことでペールエールといただくのはこちら、3種のステーキ盛り合わせ。ドーン!
「ペールエールには正統派の、味がしっかり出ている肉料理。さらにスパイスが効いていたりするといいですね。グレープフルーツやレモンを思わせるフレーバーホップの華やかな香りが引き立てられます。ソースも赤ワイン系やデミグラスなど、やっぱり存在感のあるものがよく合います」
レモン&ペッパーというのは、まあこの世の中でも5本の指に入る食材コンビネーションですからね。この「Craft Label 柑橘香るペールエール」×ステーキ盛りも完璧なマリアージュを味覚と嗅覚に対して全面展開してくるわけです。ええ。ペールエールの適度に混じり合った苦みと甘味が、肉を噛みしめるたびにいちいち、いや本当いちいち肉汁にバッチリ絡んでたまりません。なんとまあ肉々しい関係なんでしょうか。最高です。
またスパイシーな肉料理ということでいけば、中華料理やアジア系のエスニック料理のメニューにもハマりそうです。新井さん曰く「ペールエールはカレーも合いますよ」と、まったくもって聞き捨てならない超重要情報もいただきました。もう明日はカレー曜日決定です。
続いては「Craft Label Hello! ヴァイツェン」。ペールエールがホップ推しだったのに対し、こちらは麦と酵母推し。小麦由来の軽快な飲み口と、酵母が醸し出す甘いフレーバーで大変飲みやすい一杯。女性にもオススメです。
「ヴァイツェンは南ドイツ、ミュンヘンなどでよく飲まれるタイプのビール。現地では定番のソーセージやジャガイモの料理とやっぱり相性がいいですね」
ですねですね。そうでしょうと思って、ご用意しておりますよ。こちら、ソーセージ&ザワークラウトです!
ザワークラウトはドイツでよく食されるキャベツの酢漬けですね。今回は即席バージョンで、キャベツをザクザク切って酢、バター、鶏がらスープの素、キャラウェイでもって和えています。ちょっとツンとくる香ばしさがあって、シンプルなソーセージにはいいアクセントになるわけですが、同じくスッキリシンプルなヴァイツェンの味わいにもよく合うんですねこれが。
とまあ、ここまでは安定の王道マリアージュですが、ここらでひとつ変化球を挟んでみたく……。新井さん、何かヒントをいただけませんでしょうか……。
「ドイツではヴァイツェンにレモンを加えて飲む方法があります。シトラス系の香りが爽快に立ってきてとてもおいしい。魚介系でも同じようにレモンをしぼって食べるようなものは、けっこういけるんじゃないかと思いますよ」
素晴らしい変化球いただきました。ストライクです。それを受けまして用意してみましたのがこちら、タコとタイのカルパッチョ南国風味。
プリプリのタコ&タイを日本酒、いしる(魚醤)、カツオだし、昆布茶、ケッパー、ワサビ、オリーブオイルで和えて、レモンをギュギュっとしぼった一品。タイだけにパクチーも乗っけて南国タイ風のフレーバーも上乗せしてみました。
濃厚なお肉とビールもいいですが、このさっぱりシーフードとヴァイツェン、非常にオススメです。「Craft Label Hello! ヴァイツェン」自体がバナナともクローブとも言われるほのかに甘い香りを持っているのですが、それとレモンやパクチーのシャキッとした風味が絶妙なコントラストを見せてくれます。味付けも軽めなので、ヴァイツェン特有のなめらかでスムーズなノド越し・後味が邪魔されずに最後までしっかり感じられるのもいいですね。総じてスッキリしたコンビネーション、たまには「おうちビール」の雰囲気を変えたいという人にはグッドだと思います。
そして発売になったばかりの大型新人「Craft Label 香り踊るジャグリングIPA」。IPAとはホップの苦味をガンガンに利かせた種類で、アメリカではクラフトビールの“代名詞”的に人気があり、日本でもジワジワきているタイプです。とはいえ、この「Craft Label」のIPAは苦味だけを前面に出すのでなく、バランス感を大事にしています。クラフトビール初心者も「いつものビール」の感覚で家飲みが楽しめる、かなり飲みやすい仕上がりです。さすが大型新人。
「IPAは本来とても個性の強い、しっかりした味わいがあります。それだけにボディ感がすごくあるので、一緒に楽しむ料理もそれに負けない存在感があるといいですね。合わせるなら魚よりは肉、味付けもライトよりはヘビー。今回のIPAには柑橘系の香りもあるので、ペールエールと同じくスパイスの効いた肉料理はピッタリです。ハンバーガーなんかは、間違いないと思いますよ。濃い目のソースでしっかり味付けしたものは特に」
はい、キーワードいただきました。ハンバーガー。濃い目のソース。ということでこちら、もう見るからにビールに合いそうですね。
お肉は牛・豚合い挽きにシチュー用のホロホロした牛肉の塊も投入し、卵、牛乳、パン粉、玉ねぎ、ケチャップ、ナツメグ、黒胡椒、醤油、味噌、ガーリックパウダーでもってコネコネ。それをジュージューやって作ったハンバーグに、トマト、レタス、ピクルス、玉ねぎを乗っけてマスタードを少々、チーズをトロリ、そしてバーベキューソースをダラリ。それをバンズで挟んでこのビジュアルです。ヨダレものです。はい。
ガブリといくとジュジュジュジュワッと肉汁が出てきてバーベキューソースにキュキュキューッと絡みつき、口の中が旨味でミッチミチに満たされます(おいしさに興奮し擬音過多になってます、すみません)。そこに「Craft Label 香り踊るジャグリングIPA」のほどよくグッとくるホップの苦味が入ってくると、いっそう味の深みが増しますね。香りも華やかなので、ハンバーガーのマスタードやトマトが織りなすビビッドなフレーバーとも相まって、気分をアゲてくれるマリアージュです。この夏は、ちょっとこれで決まりかもしれません。屋外でバーベキューとか、キャンプとか、アウトドアシーンにも劇的にハマるとおもいます、IPA&ハンバーガー。
以上「Craft Label」と料理の相性をいろいろ試してみましたが、最後に新井さんからの金言。3種類のビールをおうちでさらにおいしく楽しむヒントをいただきました。まずは温度。ビールといえば、キンキンに、なんなら凍るくらいカッキンカッキンに冷やすのがうまいに決まっている……と思ったのですが……。
「『Craft Label』はどれも香りが特徴的で、味だけでなくフレーバーも楽しんでいただきたい。そうなると、キンキンに冷えているとあまり香りが立ってこないので、とても“もったいない”んですね。通常のビールの感覚からすると若干高め、オススメは7~10度です。冷蔵庫でも野菜室で補完する感じですね。または普通に冷やしておいて、飲むときは先に冷蔵庫から出して常温でしばらく置いてからプシュッ、というのでも良いと思います」
これはちょっとしたテクですね~、勉強になります。ところでプシュッ、の後に注ぐグラスは、デデンとしたジョッキでいいんでしょうかね。これも何か「Craft Label」ならではのセレクトがありそう。
「やっぱり味わいや風味の特徴にあったグラスの形状というのはあります。たとえばペールエールはなんと言っても香りを楽しみたいので、少し丸みがあって飲み口がすぼまっているグラスがいいですね。香りが口元と鼻先に集まってくるので、飲む瞬間にパッと立ち上るフレーバーをダイレクトに感じることができます」
極論、家にワイングラスがあればそれに注いじゃってもいいそうです。ただガスが抜けてしまうので、ワイン気分でグルグル回さないように(笑)。あと香りをパキッと感じるために、注ぐときにあえて泡を少なめにするのもポイントなのだとか。逆に泡をしっかり作りたいのはヴァイツェンの方。
「ヴァイツェンはこんもり盛り上がるきめの細かい泡に特徴があるので、それを楽しむにはちょっと細めで高さのあるグラスがいいと思います。ただ注ぐときに、泡を立てようとして最初からドボドボいくとビールがもまれすぎるので、まずはグラスのふちに添わせて静かに入れるのがコツです。その方がスッキリした飲み口になります」
最後はIPA。これは比較的ガツンとくる強めのフレーバーが特徴ですが……。
「香りは放っておいても強く立ってくるので、口が広めに開いているグラスでも十分に風味を堪能できます。苦味の強さも感じてほしいので、器の方にも強さというか、ボリューム感やワイルドさがあると雰囲気が出ると思いますよ。また、泡は少なめにする方が、香りも苦味も楽しむことができます。」
写真はビヤホールの「銀座ライオン」(サッポログループの外食事業を担う(株)サッポロライオンが運営)で「Craft Label 柑橘香るペールエール」の樽生をオーダーしたときのグラス。なんと、サッポロライオンさんの一部店舗では樽生の「Craft Label」が専用のグラス(3タイプに合わせてグラスも3種類)で味わえるんです!
ということで、ついにエピソード(3)で完結となるこの「Craft Label」シリーズ。マスターブリュワーの新井さんによる豊富かつ具体的な解説、ヒント、テクニックの数々、ためになりましたね~。ジェダイマスターの教えに導かれて手にしたクラフトビールのフォースを、皆さんもぜひおうちでも試してみてください。そしてまたいずれ、麦芽とホップが渦巻く銀河の片隅で再びお目にかかりましょう。シーユーネクストビヤタイム! バイバイ!