「温度」と「グラス」にもちょっとしたテクニック
以上「Craft Label」と料理の相性をいろいろ試してみましたが、最後に新井さんからの金言。3種類のビールをおうちでさらにおいしく楽しむヒントをいただきました。まずは温度。ビールといえば、キンキンに、なんなら凍るくらいカッキンカッキンに冷やすのがうまいに決まっている……と思ったのですが……。
「『Craft Label』はどれも香りが特徴的で、味だけでなくフレーバーも楽しんでいただきたい。そうなると、キンキンに冷えているとあまり香りが立ってこないので、とても“もったいない”んですね。通常のビールの感覚からすると若干高め、オススメは7~10度です。冷蔵庫でも野菜室で補完する感じですね。または普通に冷やしておいて、飲むときは先に冷蔵庫から出して常温でしばらく置いてからプシュッ、というのでも良いと思います」
これはちょっとしたテクですね~、勉強になります。ところでプシュッ、の後に注ぐグラスは、デデンとしたジョッキでいいんでしょうかね。これも何か「Craft Label」ならではのセレクトがありそう。
「やっぱり味わいや風味の特徴にあったグラスの形状というのはあります。たとえばペールエールはなんと言っても香りを楽しみたいので、少し丸みがあって飲み口がすぼまっているグラスがいいですね。香りが口元と鼻先に集まってくるので、飲む瞬間にパッと立ち上るフレーバーをダイレクトに感じることができます」
極論、家にワイングラスがあればそれに注いじゃってもいいそうです。ただガスが抜けてしまうので、ワイン気分でグルグル回さないように(笑)。あと香りをパキッと感じるために、注ぐときにあえて泡を少なめにするのもポイントなのだとか。逆に泡をしっかり作りたいのはヴァイツェンの方。
「ヴァイツェンはこんもり盛り上がるきめの細かい泡に特徴があるので、それを楽しむにはちょっと細めで高さのあるグラスがいいと思います。ただ注ぐときに、泡を立てようとして最初からドボドボいくとビールがもまれすぎるので、まずはグラスのふちに添わせて静かに入れるのがコツです。その方がスッキリした飲み口になります」
最後はIPA。これは比較的ガツンとくる強めのフレーバーが特徴ですが……。
「香りは放っておいても強く立ってくるので、口が広めに開いているグラスでも十分に風味を堪能できます。苦味の強さも感じてほしいので、器の方にも強さというか、ボリューム感やワイルドさがあると雰囲気が出ると思いますよ。また、泡は少なめにする方が、香りも苦味も楽しむことができます。」
写真はビヤホールの「銀座ライオン」(サッポログループの外食事業を担う(株)サッポロライオンが運営)で「Craft Label 柑橘香るペールエール」の樽生をオーダーしたときのグラス。なんと、サッポロライオンさんの一部店舗では樽生の「Craft Label」が専用のグラス(3タイプに合わせてグラスも3種類)で味わえるんです!
ということで、ついにエピソード(3)で完結となるこの「Craft Label」シリーズ。マスターブリュワーの新井さんによる豊富かつ具体的な解説、ヒント、テクニックの数々、ためになりましたね~。ジェダイマスターの教えに導かれて手にしたクラフトビールのフォースを、皆さんもぜひおうちでも試してみてください。そしてまたいずれ、麦芽とホップが渦巻く銀河の片隅で再びお目にかかりましょう。シーユーネクストビヤタイム! バイバイ!