この6月、東北の山中で熊に遭遇する事故のニュースが多くありました。その原因の一つに、雪解けを待って芽を出すネマガリダケを熊と人とが競って掘りあっていたことが挙げられています。それほどまで人を引き付けるネマガリダケ。山形の霊峰月山周辺で採れるこの山菜は、天ぷらで食するのが最高です。そんなネマガリダケが近所のスーパーで水煮パックになって売っていました。すかさず買い、もちろん天ぷらにしました。
縦に包丁をいれます
ネマガリダケの標準和名は「チシマザサ」。タケとササの違いは竹の子の時についている葉鞘と呼ばれる皮で決まり、それがすぐに落ちてしまうのがタケ、いつまでも付いているのがササと言われています。竹の子の時は、チシマザサもモウソウダケも皮(葉鞘)が付いているので米糠などを入れて茹でますが、今回は水煮なので、パックから出して水を切ったらそのまま使えます。保存も利きますし、熊に遭遇することもないので、これは大変便利です。皮の部分に縦に包丁を入れれば、ぺりぺりとむけて薄いベージュの可食部が出てきます。
東京の老舗の天ぷら屋さんの大将によれば
「天ぷらの命、コロモは、カップ1の小麦粉に対して、カップ1の冷水を合わせればいい」と東京の老舗天ぷら屋さんの大将がテレビの番組で言っていたので、毎回そのようにしています。完全に溶き切らないコロモの中にネマガリダケをつけて、170度に熱した揚げ鍋に入れて、浮き上がった頃にコロモを足してボリュウムを付けます。水煮なので、コロモの出来上がりだけを気にすれば良いので、助かります。
山形の特産ネマガリダケに合わせるのは、やはり山形のお酒。