寿司屋で飲むお酒は「日本酒」? いえいえ、これからはお洒落に「ワイン」!

寿司屋は日本古来のレストラン。そこで供される料理に日本生まれの「日本酒」をあわせれば最高の組み合わせ。では、寿司屋の料理に他のお酒はあわないのだろうか? 例えばワイン。もし、フランス産のタンニンの効いた重めの赤ワインなどを持ってきたら、あわないのは自明の理。だったら、軽めの爽やかなワインなら寿司屋の料理にあう? 早速検証してみよう。

『蛇の目鮨』は、ビールと焼酎以外のお酒が持ち込み自由!!

検証の場に選んだ寿司屋は『蛇の目鮨』。JR日暮里駅から徒歩10分ぐらいの住宅街の中にある古風なお店。なんとこの店、ビールと焼酎以外のお酒が持ち込み自由なのだ。もちろん、持ち込み料は発生しない。ビールと焼酎はお店に置いてあるので、持ち込みはできない。店主に聞いてみると、日本酒やワインなどは銘柄が多く、好みが分かれる。それらを全て品揃えする事は不可能なので、客が好きな飲み物を持ち込んで楽しめばいいとの事。なんとも太っ腹な考えだ。で、この日は、赤ワインと白ワインをそれぞれ1本ずつ持ち込む事にした。

準備したのは、ジャパニーズワイン

持ち込んだワインは、サントリージャパンプレミアムシリーズ。日本産の葡萄を使用し、日本のワイナリーで作られた純国産品。軽く、爽やかなワインという事で、ここに辿り着いた。一般的にその地の食材で作られた料理は、同じ地で作られた飲み物と良くあうという。日本由来の寿司屋の魚料理には、日本産の「ワイン」が一番あうはず。

まず、白ワイン「甲州」。穏やかな酸味をもった、すっきりした味わいのワイン。柑橘系の香りが爽やかで飲みやすい逸品。

そして赤ワインは「塩尻マスカット・ベーリーA」。華やかな香りと果実感のあるワイン。タンニンが穏やかな赤。果たして赤ワインは、寿司屋でいただく料理達にあうのだろうか?

「白ワイン」と一緒にいただく寿司屋の料理

お刺身にあわせるのは白ワイン「甲州」

まずは刺身と白ワイン「甲州」。一般的に白ワインは魚料理と相性がいい。恐らくこれはピッタリくるのだろう。早速、刺身をいただく。

まずは「かます」。この魚を刺身でいただくのは珍しい。身を少し炙り生姜が添えてある。醤油を少し垂らし、いただく。

美味い! 炙ってあるせいか、僅かに焼き魚のような甘みを感じる。ワインの酸味と醤油が融合し、上質なポン酢でいただいているよう。白ワイン「甲州」は醤油にも良くあう。

次にいただくのは、「トロ鯖」。豊後水道でとれたもの。刺身でもいただける新鮮な鯖を、薄く酢で〆てある。

鯖は口の中で蕩ける。まるで、鮪のトロをいただいているよう。トロほど濃厚でなく、上品な脂だ。薄い酢の〆具合が抜群。これが「甲州」の柑橘系の香りと酸味にマッチする。美味すぎる!

ここで、生ものから揚げ物にチェンジ。「河豚のから揚げ」をいただく。薄っすらと味付けされた衣に包まれた身は、上品なお味で、しっかりした食感がたまらない。「甲州」は、すっきりした酸味と甘みで河豚のお味を引き立てる。やはり白ワインと魚料理は良くあう。

「赤ワイン」と一緒にいただく寿司屋の料理

赤ワインにあわせるのは赤身のお魚

ここで赤ワインにチェンジ。まずは濃厚な魚をいただく。「鮪のトロ」だ。分厚く切られており、鮪を随分主張しそう。はたして赤ワインはあうのだろうか?

鮪を口に入れると、上質な脂が口中に広がり、旨みと甘みが爆発する。そこに赤ワインをあわせる。「塩尻マスカット・ベーリーA」は軽やかな飲み口なので、鮪の旨みを殺さない。そして、薄っすらと感じるタンニンが口の中を爽快にリフレッシュしてくれる。これは抜群の相性だ!

次にあわせるのは穴子。煮詰めタレを施された穴子は美味しそう。ホクホクの穴子は口の中で少しずつ溶けていく。甘辛い煮付けタレが穴子の旨みをさらに引き立てる。「塩尻マスカット・ベーリーA」の華やかな果実感は、濃厚な穴子に思った以上にあっている。

寿司をいただこう。色々あるが、まずは鮪のトロの炙りから。酢味噌を乗せられた炙りトロ鮪は、脂が抑えられ上品なお味に仕上がっている。口の中に入れた瞬間、至福の時が訪れる。これも赤ワインの軽いタンニンがいい仕事をしてくれる。さっぱりといただけるのだ。

その他の寿司も、赤ワインに良くあう。やはり、「塩尻マスカット・ベーリーA」は赤ワインの中でも軽めの品種なので特に食材を選ばない。仄かなタンニンと華やかな果実感がスッキリした爽快感を演出するので、色々な素材にあうようだ。

ジャパニーズワインは、やはり「寿司屋の料理」にあう

ジャパニーズワインは、やはり「寿司屋の料理」にあう

ある程度予測できた事だが、「ジャパニーズワイン」と「寿司屋の料理」とのマリアージュは最高だった。白ワインは当然あうと思ったのだが、赤ワインが以外にもピッタリだった。これは、タンニンが穏やかな種類を選んだので、食材の味を損なわなかったからだろう。この、「塩尻マスカット・ベーリーA」は、もしかしたら、白ワイン以上に魚料理にあっているのかもしれない。いずれにしろ、ジャパニーズワインは「寿司屋の料理」にピッタリとマッチした。寿司屋で「ワイン」をあわせるのなら、日本製の軽めのワインを選べば間違いないようだ。そう、これからは、お洒落に「寿司屋でワイン」の時代なのかもしれない。