自分だけかもしれないが春になるとアルザス地方の辛口白ワイン「リースリング」が飲みたくなる。初めて飲んだのが春だったからだろうか、それともエチケットの黄色とボトルの緑色が菜の花を想起させるからだろうか。とにかく無性に飲みたくなる。
アルザス地方のワインは非常に独特である。まずは見た目。上の写真で頭ひとつ分、背が高いのがアルザスワインだ。背の高さだけでなく肩のラインが美しい流線型になっているところも特徴的だ。
次にぶどう品種。フランス北東部の内陸に位置するアルザス地方はワイン大国フランスの中でもかなり独特なぶどう品種を育てている。一般的にワインに使われる有名なぶどう品種といえば「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「カベルネ・ソーヴィニヨン」などが思い浮かぶが、アルザス地方では「リースリング」「ゲヴュルツトラミネール」「ピノ・グリ」とあまり有名でないものばかりだ。その中でも今回紹介している「リースリング」が一番多く栽培され、アルザスワインを代表する品種になっている。
さて、冷蔵庫でよく冷やしたリースリングを出してきてグラスに注ぐ。鼻を近づけてみるとはちみつ、りんご、白桃のような優しい果実と木樽の香りがバランスよくまとまっている。その果実の香りから甘い味わいを想像するが飲んでみるとりんごやグレープフルーツを感じるすっきりした辛口となっている。甘口ではないが甘いニュアンスのある辛口。そして酸もしっかりある。香り味わい共にバランスよくつくられたワインだということがよくわかる。
ちなみにトリンバックのワインはフランスのミシュラン三ツ星レストラン全軒に置かれているぐらい認められているのだという。
そんな美味しいアルザスのリースリングに合わせるのはアルザス地方の郷土料理「タルトフランベ」 簡単に言うとたまねぎとベーコンのピザだ。
生地はホームベーカリーを使ってクリスピータイプのレシピで作るとちょうどいい。
強力粉 200g
薄力粉 200g
水 200ml
オリーブオイル 20g
塩 3g
ドライイースト 4g
ホームベーカリーから取り出した生地を4等分して薄く伸ばし、焼いた時に膨らまないように生地全体をフォークで刺す。この後、正式な作り方は生地に「フロマージュブラン」というチーズを使うのだが近所のスーパーには売っておらず簡単には手に入らない。というわけで代わりに「水切りヨーグルト」を使う。目の細かいざるやクッキングペーパーで水を切ったヨーグルトを生地に塗る。これで簡単に本格的な味に近づけられる。
まんべんなくヨーグルトを塗ったら薄切りしたたまねぎと細く切ったベーコンを全体に散らして200℃のオーブンで15分焼く。
焼き上がったら四角い形に切り整えて、一口サイズに切れ目を入れる。タルトフランベは四角い形であることが多いのでこの形の方が雰囲気が出る。さらに木製のカッティングボードに乗せて食卓に出すと完璧だ。
さぁタルトフランベができあがったのでリースリングとの相性を確認してみる。火が通ったたまねぎの甘みやヨーグルトの酸が、リースリングの甘い香りと爽やかな酸と呼応してとても合う! タルトフランベは薄い生地で軽やかな味わいなので食べる手が止まらない。こうしてタルトフランベ→リースリング→タルトフランベ→リースリングのエンドレスが始まる・・・。