いやあ皆さんごきげんよう。編集長Dです。いやあミズナラ枡、ご出資いただけて枡?枡?枡?……は?何?って、いやだなあもう。ご存じないんですかぁ?ウイスキー専用酒器「ミズナラ枡」ですよぉ。今日から「ま」いしゅう「す」いようびは「枡の日」と勝手に制定して、水曜日に「ミズナラ枡」情報を発信してまいり枡。はい。
我々「バッカスの選択」編集部で「BCHS」なるブランドを立ち上げ、第1期プロダクトとして開発した「ミズナラ枡」。主にジャパニーズウイスキーの貯蔵に使うミズナラ樽に着想を得て(という名の思い付き?で)、“手の中で樽熟成”を再現しようと製作したものです。
製造・販売にあたって広く出資を募ろうと、クラウドファンディングサイト「Makuake」に出品したわけですが、支援募集スタートからわずか30時間あまりで出資が目標金額に到達。現在(8月10日時点)の出資額は目標の488%という、多くの注目・期待をいただいている次第でして、ええ。皆さま誠にありがとうござい枡!!
そんな「ミズナラ枡」ですが、今月8月29日のクラウドファンディング出資締切の後、順次支援者の方に発送&一般発売をスタートします。ということで、これから初めて「ミズナラ枡」を手にされる方が本製品を完璧に使いこなし、またあんなことやこんなことをやらかしてしまわないように、ここで改めて使い方のキホンをおさらいしたいと思い枡。
通常の食器全般がそうであるように、軽く流水ですすいで自然乾燥させます。
乾いた「ミズナラ枡」、せっかくなのでウイスキーを注ぐ前に“モノ自体”の香りを嗅いでみましょう。ミズナラと言われて「ああ、ああいう匂いね」とわかる人は多くはないはず。嗅いでみると、人によりいろんな感覚や、ときに“記憶”が呼び起こされるはずです。そしてウイスキーを注いだときの香りの変化を妄想して、ニヤケてください。イマジン。悦に入りましょう。
飲み方はストレートを推奨します。ロックや水割りにして水分が入ると染み、漏れが進む場合があります。
ストレートなので自動的にこうなるかとは思いますが、注ぐ量はドボドボいかずにちびちびと、枡の半分ぐらいまでがいいと思います。日本酒感覚でフチいっぱいまで入れてしまうと、ウイスキーの香りばかりが立ってしまい、ミズナラの香りと混じることで生まれるフレーバーの変化があまり楽しめません。
そうそう、飲みたい気持ちを抑えて、まずは嗅いでみましょう。ニヤケながらイマジンしたことの答え合わせです。いつも飲んでいるあのウイスキーが「こうなるのか!」という変化にしばしのけぞりましょう。
これはまあ、普通に、枡の飲み方でどうぞ。ただ強いて言えば、日本酒のときよりも“ちびちび”慎重にやってください。ウイスキーのストレートなので、当然のことではありますが。
ストレートなので「チェイサー」としてお水があるといいと思いますが、さらにその向こうに「ノーマル」、つまり普通のグラスに注いだ同じ銘柄のウイスキーを並べて飲むと極めて乙です。「チェイサー」を挟みつつ、「枡」と「ノーマル」のウイスキーを行ったり来たり。「これが……こうなるのか!ふむふむ、いつものこれが……こうなる!ほーほー、これが?……こうなるぅぅ?」という反復横飛びですね。人がいる場所でのテンション調節は各人にゆだねます。
ひょっとするとこれが「ミズナラ枡」で最も大事なことかもしれません。いいですか。皆さん、“残り香”を嗅いでください。これまで書いたことは「推奨」のレベルですが、これは「マスト」です。空になった枡の“残り香”を嗅いでください。なぜここまで強制するかの理由は、実際に嗅いでいただければわかります。繰り返します、嗅いでください。
“残り香”を嗅ぎ出すとヤミツキになる気持ちもわかるのですが、ある程度嗅いだらあきらめて洗ってください。
洗う際は水洗いで、食器用洗剤は使用しないでください。
食器洗い機の使用はできません。“残り香”を嗅いでゾッコンになってしまった「ミズナラ枡」を、機械に入れるなんてもうできませんよね?愛情を込めて、手洗いでいきましょう。
ミズナラは水分により膨張しやすく、割れ等につながる恐れがあるので、水洗い後はしっかり乾かします。くれぐれも「自然乾燥」でお願いします。
ミズナラは熱や温度変化に弱いので、ドライヤー等での乾燥はダメです。ゼッタイ、ダメ。
乾いた「ミズナラ枡」は風通しのよい冷暗所に置いて保管しましょう。
枡をキンキンに冷やす方はそう多くはないと思いますが、先ほども申しましたとおりミズナラは熱や温度変化に弱いので、冷蔵庫もお控えください。
「ミズナラ枡」は“生きもの”です。無理な扱いをすると“機嫌を損ねて”しまいますので、以下の点にはご注意ください。
広葉樹であるミズナラは、水分を運ぶ繊維の太さや構造がヒノキなどの針葉樹と違うため、液体の染みやすさも違います。また、ウイスキー(しかもストレート)は日本酒などよりアルコール度数が高いので、木材への浸透が早くなります。「ミズナラ枡」の製造過程ではこの染みや漏れの対策を十分に講じていますが、それでも多少の染みが発生する場合があることをご承知おきください。
あまりに長く放置しますと染みが進み漏れにつながる場合があります。
不必要に長時間水に浸したり、水洗いを続けたりすると、変形等の原因になりますのでお止めください。
熱湯消毒等も変形や漏れの原因となりますので行わないでください。
以上に注意して使用しても、長期間繰り返し使用することで膨張・収縮を繰り返し、変形・ゆがみ等が発生する場合があります。
以上が「ミズナラ枡」の『使いこなし完全マニュアル』になります。特に後半、染みが出る等ちょっとデメリットに思えるポイントもありますが、しかしウイスキーを注いだときの香りの変化や、何よりあの“残り香”が生まれるのもこの絶妙な染みがあればこそ。そういう意味では“手の中で樽熟成”というこのドラマの重要な立役者でもあるわけですね。
そうした染みも含めて、繰り返し使い込むことでいっそう味が出て、手に馴染み、愛着の湧く「ミズナラ枡」。時の経過とともに深みが増す新しいウイスキーの味わい方、ぜひ楽しんでみてください。
あの銘柄は「ミズナラ枡」でどう変わる? ウイスキーを「ミズナラ枡」で飲み比べ(1)ジャパニーズウイスキー編 を配信予定です。お楽しみに!