【ソース代わりに「酒ディップ」?】チキンナゲットを5種類の酒に浸して完成度を検証。クリスマスパーティーにも耐えうる成績を残したのは……?

メリークリスバッカス! 真っ赤なお鼻の編集長Dである。この連休はどいつもこいつもパーリーピーポーだろうか。そして私はどうして原稿を書いているのだろうか。まったくこの世界は何かを間違えている。そして私を裏切らないのは酒だけだ。

というわけで今回も私の前には酒が並んでいる。壮観な眺めだ。そして手前にはチキンナゲットが盛られている。これをつまみながらパーティー気分に少しでも浸ろうというのか。

いやそんなわけがない。ここはリア充どものたまり場ではない、「バッカスの選択」編集部である。チキンナゲットをただ食べるなど、ここではむしろ“愚行”なのである。ではどうするのか? 決まっているだろう、「酒ディップ」よ。

通常ケチャップやマスタードソースにディップするところを、いろんな酒にナゲットをひたひた浸して食してみる。酒はビール、ウイスキー、赤ワイン、梅酒、ラムの5つ。どれがうまいか、いやそもそもうまいものがあるのか。誰に頼まれたわけでもない不毛な実験が、また始まる。

ソース代わりに「酒ディップ」第5位から発表します。

第5位「ラム酒」

これまで「カルピスと混ぜる」とか「冷奴にかける」とかの実験で安定した成績を残してきたラム酒だけに、そこそこ期待していたのだが、ちとハードルを上げ過ぎていたようだ。

ディップして口に入れると、まずラムの甘くて強いアルコール香がクワッと鼻に抜ける。が、ほどなくしてラムの風味は足早に駆け抜けてしまい、あとはナゲットの肉の味しかしない。ん~。

なんか最後まで交わらないというか、せっかくディップしてるのにコラボ感が皆無。味が混ざることですんげえ不味くなるぐらいの方がいっそ面白味もあるのだが、それもなくひたすらに平行線。どうも釈然としない。ということで今回は最下位。

これもハードルを上げ過ぎた部類かもしれない第4位は…

第4位「梅酒」

これもハードルを上げ過ぎた部類かもしれない。「梅じそ」のドレッシングやソースは肉と好相性なので、意外といけるんじゃないかと楽観視し過ぎた。

梅酒単体にひたして食べると、どうも甘さが立ちすぎる。不味くはないのだが思いのほか甘味が肉の味に勝ってしまい、ちょっとアンバランス。極端に言うと「味が梅で食感だけが肉」という何かを食べている感じ。どうももうひと押しに欠ける。

やはり梅にしそを合わせるのにはちゃんと理由があるわけで、梅の甘味を引き締める要素がプラスされないと肉をくぐらせるソースとしては完成形にならない。最後まで見せ場をつくることができないまま、梅酒は第4位でフィニッシュ。

ちょっと惜しいというか、方向性は合っているというか、そんな第3位

第3位「ウイスキー」

これはちょっと惜しいというか、方向性は合っているというか、やりたいのはそういうことなんだけどな~というもどかしさがある。

口に運ぶと、ウイスキーの穀物的なコクがファーストアタックでしっかり出て、その後ドライな苦味に移行。肉のソースとしては悪くない立ち上がりを見せる。が、苦味が思ったほどスムーズに抜けない。長く残りすぎてちょっと心地よくない。最後の詰めがいまいち甘いというか、歯がゆい展開だ。

たとえばナゲットをウイスキーで煮込むとか、時間をかけてウイスキーを染み込ませるプロセスがあれば不要な苦味も出ずに済むかもしれない。いかんせんディップという短時間のコンタクトでは、いいパフォーマンスが出し切れない感じ。可能性は大いに感じるのだが、実に惜しい。

普通に合わせたってうまい、ハードルをものともしない第2位

第2位「ビール」

まあ普通にビールのツマミとしてチキンナゲットを合わせたってうまいんだから、ディップしてもそこそこの成績を残すだろうとは思っていたが、その上げられたハードルをものともしない働きは見事である。

これはウイスキーがつまずいたポイントをうまくクリアしていて、最初にジュワッと出てくるビールの苦みが、同じくジュワッと出てくる肉の旨味とうまいこと融合して、スムーズに抜けていくのだ。苦味がいやな感じで残ることなく、ナゲットの引き立て役という立場をわきまえている。サラリーマンなら確実に出世するヤツだ。

バーベキューソースみたいな濃い味からするとだいぶ薄口にはなるが、そのあっさり感も2個3個と食べていくと馴染んできてハマる。エール系とか黒ビールとか、同じビールでも種類を変えて比べるのもいいかもしれない。

“擬似肉汁”となり、旨味が増幅される?! 第1位は…!

第1位「赤ワイン」

酒ディップの難しさは何といっても肉と酒の接触時間が短いことで、ラム酒やウイスキーはその時間の短さにやられて本来の力を出し切れなかった感じもある。肉の旨味といかに早く馴染むかが勝負の分かれ目であるが、その点で一番のスピードを見せつけたのがこの赤ワインだった。

ちょちょいと浸して口に放り込んだ瞬間から、もうワインは酒であることを止めて、味付けに徹している。この割り切りの早さが素晴らしい。某ファストフード店の何てことないチキンナゲットと、ペットボトルで売っているような何てことない赤ワインなのだが、一緒に噛みしめていると肉のレベルがちょっと上がった感じがする。

赤ワインがおそらく“擬似肉汁”となり、旨味が増幅され、肉も柔らかくなったように感じられるのではないか。肉と一体化するのがなんせ早いので、最初からそういう“いい肉”だったんじゃないかという心地良い錯覚をもたらしてくれる。他の4つの酒にはなかった感覚だ。おでこのテカリも忘れてがっついてしまった。

ということで、チキンナゲットの「酒ディップ」実験は以上。特に1位2位はなかなかの出来なので、パーリーピーポーもぼっちの人もぜひ試してみてほしい。そしてこの不毛な実験はまだまだ続く(らしい)。また次回まで、ごきげんよう。