鹿児島県は霧島市に位置する佐藤酒造。創業は明治39年であり、今から110年前に遡ります。そんな佐藤酒造が作っているフラグシップの商品が、芋焼酎の「佐藤」です。
佐藤には白と黒があり、それぞれ白麹と黒麹使っています。佐藤は白麹と黒麹の違いが焼酎に与える影響を知る上で、まさに教科書と言える焼酎でしょう。本日は、そんな佐藤の黒を飲んでみたいと思います。
[蔵元]佐藤酒造
[産地]鹿児島県
[原料]コガネセンガン、黒麹
[度数]25度
佐藤の特徴は何と言いましても、水の綺麗さを感じる飲み口です。佐藤酒造は霧島山系の美しく豊かな自然に囲まれた場所にあり、霧島山系の天然水を仕込み水に使っております。佐藤の黒は、原料のコガネセンガンの味わいを力強く感じることのできるお酒です。
比較的味わいがスッキリと柔らかい佐藤の白に比べると、佐藤の黒にはどっしりとしたボディを感じます。また、サツマイモの甘さのみならず、サツマイモの皮の苦味をも感じることができます。まさに、サツマイモを丸ごと使った焼酎というわけです。
サツマイモを丸ごとと言いますと、何だか素朴な味わいかとお思いになるかもしれません。しかし、そうではないのです。佐藤の黒の大きな特徴は、サツマイモの風味を丸ごと閉じ込めた重厚さを持ちながらも、キレが良く、透明感のある飲み口を実現させている点です。
佐藤の黒はまさに完成された焼酎です。力強さと美しさを兼ね備えた佐藤の黒であれば、通常は合わせることをしない料理ともしっかりと噛み合ってくれるのではないかと、好奇心が芽生えます。そこで、本日、佐藤の黒にはシュークルートを合わせてみました。
シュークルートはフランスのアルザス地方の郷土料理です。フランスでは、シュークルートという言葉は、元は、乳酸発酵させたキャベツの漬物を指すものですが、そのキャベツを使った料理自体もシュークルートと呼ばれております。シュークルートは、酸味のあるキャベツの漬物、人参、玉ねぎ、セロリ、ジャガイモ、ベーコン、豚塊肉を使った煮込み料理です。
キャベツの漬物の酸味と、ベーコンの燻製の香り、肉と野菜の旨味が溶け込んだスープが複雑な味わいを醸し出すシュークルートは、アルザスワインや、冷えたビールなどと合わせられることが多い料理です。そんなシュークルートは、佐藤の黒と合うのでしょうか。まず、シュークルートのキャベツを食べてみます。
肉と野菜の旨味が溶け出したスープを吸ったキャベツの漬物は、一言では言い表せないような複雑な味わいです。次はお肉。2時間煮込むことにより、ホロホロになったベーコンおよび豚塊肉は、絶品の一言です。
そして、ロックの佐藤の黒を飲みます。佐藤の黒は力強いボディを持つため、複雑な味わいのシュークルートに消して負けることはありません。そして、佐藤の黒の持つ透明感のある飲み口と、キレの良さは、ベーコンや豚塊肉の脂をしっかりと洗い流してくれます。シュークルートの味わいを重厚なボディで正面からがっしりと受け止め、その後に、口の中の脂をさっぱりと消してくれるイメージでしょうか。
意外なほどに佐藤の黒はシュークルートに合います!また、シュークルートには様々な具材が入っているため、お肉と佐藤の黒、野菜と佐藤の黒と様々な組み合わせを楽しむことができる点も素晴らしいと思います。力強い味わいの芋焼酎は、がっつりとした肉料理にも合うのだと知ることができました。大満足です。
力強さと美しさを兼ね備えた佐藤の黒は、もしかすると、どんな料理にも合うのかもしれません。これからも、お酒と料理の意外な組み合わせを探していきたいと思います。