さてそんな甕出しの紹興酒ですが、原宿本店ではオーダーするとまず甕がそのままワゴンに載って登場します。
原料であるもち米由来の香ばしい香りが一気に広がる中、テーブルのすぐ横で甕からすくってデキャンタに移され、テーブルにサーブされます。
この一連の流れ、既にグラスに注がれた状態で運ばれるのとは違う説得力がありますね。
「やっぱりワゴンでごろごろ運んできて、その場で大きな甕からすくってお出しすると、印象はだいぶ違いますね。お酒は味だけじゃなくて、体験全体も含めて楽しむものですから。紹興酒の初心者や、特に女性の方には飲むまでの過程がとても大事。何か演出があると気分は盛り上がりますし、目の前で仕事をしてもらうと安心感も生まれます」
「こういうプロセスを体験して、風味がフレッシュな開けたての甕出し紹興酒を味わうことで、紹興酒のイメージが変わったというお客様は多くいらっしゃいます。同じブランドの紹興酒でも味わいが違って感じられる、という声も聞かれますね。そういった方々はリピーターになっていただけますし、『南国酒家で飲む紹興酒がおいしい』とまた別の方に話していただけます」
そうなんです。「甕出し」かつ「開けたて」の紹興酒に関するうんちくを仕入れて、しかもそれを臨場感とともに体験すると、話したくなっちゃいますよね~。「おい、知ってるか?」と。そうして紹興酒に目覚めてしまう人がどんどん増えていくわけです。紹興酒を卸している酒造メーカーさんからは、「原宿本店の紹興酒の消費量だけすごく多いのはなんでなんだろう」と驚かれているそうですが、まあ、さもありなんといったところでしょうか。
そんな南国酒家さんの紹興酒をさらにおいしく楽しむための飲み方、料理との合わせ方、さらに中国料理のメニューと他のお酒を合わせるなら……、といった“実践テクニック編”は(2)でご紹介しますよ! 知るほどにますます後戻りができなくなる紹興酒の魅力、引き続きお楽しみください。