何でなんでしょうかね、新幹線を降りると、ふと一杯引っ掛けたくなるのって――
飲んだ後にラーメンが食べたくなるのって、”肝臓”とか”アセトアルデヒド”とかってキーワードが絡んでくるそうなんですが、要するに気分的なことではなく体が欲しているそうなんですね(詳しくは各自でお調べください(笑))。で、新幹線を降りるとちょっとだけ飲みたくなるのにも、もしかしたら科学的根拠があるのかなと。もしエビデンスがあるのであれば、大義名分も立つってもんです。
その理由はわからないままですが、品川で新幹線を降りるとエキュート品川へと吸い込まれていくんです。でもまだ西日がきつい時刻……良心がむくむくとシャシャリ出てくるわけです。てことで、背徳感を少しでもやわらげようと「ちょい飲み」ができる店にススーッと。そして、日本酒をキューッと。エキュートだけに!
まずは、秋田の「刈穂」を注文。お酒の量は90ml。枡でいうと五勺枡、一般的な一合枡の半分ですね。ちょい飲みにはちょうどいい量です。どんな味わいのお酒なのか、簡単に説明がついているので、初めてチャレンジするって人にはうれしいですね。
刈穂は説明の通り、なめらかな口当たりが特徴。これは、伝統の山廃仕込みがだからこそできる味わい。およそ60日かけた低温長期醗酵から生み出されるんですね。丁寧な仕事から生み出される味わいって本当にすごくて、口に含むとスーッと体にしみこんでいく感じです。
今回のコンセプトは「地の物と合わせる」なので、秋田の名産「いぶりがっこ」をチョイス。クリームチーズとともにクラッカーに乗せて頬張るタイプです。刈穂がサラッとした黒髪の美少女だとすると、いぶりがっこは色黒な野球少年。いぶりがっこのクセのある塩味を刈穂のなめらかさが和らげてくれます。野球部のエースと生徒会長がひそかに付き合う甘酸っぱい恋。いぶりがっこの一歩後ろを歩く刈穂。そんな感じでしょうか。
お次は山梨の七賢 絹の味 純米大吟醸。山梨の雪解け水、山梨産の酒米を使って生まれた七賢は、純米大吟醸ながら派手さを抑えた味わいとして知られています。とはいえ、刈穂と比べるとフルーティーさが際立ちます。
今度のアテは厚揚げをチョイス。七賢 絹の味ということで、「絹」つながりの豆腐をアレンジした厚揚げを選びました。残念ながら山梨県産ではないが、どちらも「水」が大事なことが共通点ですね。
外側がかりっかりに揚げられている一方、中はアツアツのとろとろ。まるで湯豆腐みたいで、大豆の甘味がほんのり感じられます。添えてある大根おろしには七味が混ぜられているようでピリッときます。これを厚揚げの上に乗せて一緒に食べる。フルーティーな七賢とよく合いますね。
このカップルを今風に表現すると、「ドS王子とフルーティー少女」でしょうか。カリッカリでアッツアツの厚揚げがドS王子。七賢は絹のような白い肌のフルーティー美少女。厚揚げに壁ドンされる七賢。そんな感じでしょうか。
今回は、やや控えめで清楚な日本酒を選んだので、アテは強引に引っ張っていくタイプを選びました。尻に敷かれるタイプの私は、無意識に自分とは正反対のタイプのアテを選んでいますね……