家に、「千峰 天青」(せんぽう てんせい)があったので、それに合うアテを買って帰ろうと、駅近くにあるスーパーに寄った。家にある天青は、透き通ったきれいなターコイズブルーのビンの夏バージョンだ。蔵元 熊澤酒造がある湘南の海と空を連想させる。味のほうは、日本酒度+4と辛口で、精米歩合50%と雑味の少ないすっきりした純米吟醸。どうせなら、合わせるアテも夏っぽいものがいい。
何がいいか。日本酒だし、辛口だし、やっぱり魚か。鮮魚コーナーに行くと、かつおの刺身があった。残念ながらタタキは売り切れていた。鮮度が気になったが、刺身を少しアレンジさせようと思い、購入に踏み切る。なんとなくレシピが頭に思い浮かんでいたので、一緒にメカブも買った。
家に着くと、さっそく調理に取り掛かる。調理といっても、それほど大げさなものではなく、ちゃちゃっとつくれちゃう「ちゃちゃレシピ」だ。まずは、かつおを皿に盛る。メカブをかけるので、少しだけ大きめの皿に盛るのが良いだろう。
メカブをボールに入れ、以下の要領でソースをつくる。
(1)1cmほど、チューブのおろしニンニク・おろしショウガを入れる
(2)ゴマ油をふた回しかける
(3)白ゴマをひとつまみふりかける
(4)ぐちゃぐちゃとかきまぜる
それを刺身にかけるだけだ。包丁もまな板も使わず、ボールと菜箸だけでちゃちゃっとつくれてしまう。かつおの鮮度が気になったので、ニンニク、ショウガをやや多めに入れてかつおの臭みを消しつつ、醤油を使わなくてもいいように塩味を含んだゴマ油を多めに入れた。そして、メカブのねばりが増すようにたくさん混ぜる。
パッと思い浮かんだレシピにしてはなかなかだ。かつおにメカブに、白ゴマの香ばしさ、ゴマ油の塩気があり、押しの強いアテに仕上がった。まず、ねばねばソースが口に広がるが、その後にかつおの風味が負けずにぐっと来る。ただし、嫌な臭みはほとんどない。辛口で軽やかな天青がバッチリ合う。おちょこがずんずん空になる。
ねばねば食材は夏バテにいいと言う。蒸し暑さが日本列島を覆いつくす前に、対策は講じておきたいところだ。