「夏旅を満喫しよう2016」人気の北海道と沖縄の紀行【北海道編】

「夏旅を満喫しよう2016」人気の北海道と沖縄の紀行【北海道編】

「夏旅を満喫しよう2016」人気の北海道と沖縄の紀行【北海道編】

北海道編では北の大地で挑戦を続ける人々との出会いと感動をテーマとした3泊4日で、夏の味覚やお薦めの旅先をご案内します。そして、今回の旅のハイライトである「サッポロビールのルーツを探る大人の社会科見学」に参加してビール党には夢のような大麦畑での乾杯や、ホップの収穫などの模様をお届けします。

北海道編の北の大地

オープンガーデン巡りでローカル気分に浸る!

今回は新千歳空港から札幌に向かう途中で、恵庭市(えにわし)のJR恵み野駅で途中下車してオープンガーデンに立ち寄ります。改札口で駅員さんにオープンガーデンに来たと告げると、丹精込めて育てた庭を開放している家がわかる花マップと、空いていれば無料の貸自転車の鍵を渡してくれます。

遅い春の訪れる6月から短い夏の終わりの8月の期間、恵庭市の住宅街は至る所でミニ庭園が花開き、道内はもちろん、最近はわざわざ外国からも観光客が楽しみに訪れる場所として人気の「オープンガーデン」巡りが楽しめます。一般家庭のお庭なので、家人がご在宅でご都合が合えば花好きのご主人や奥様が花談義でもてなしてくれます。今回は地図に名前の掲載のある数軒と、その道すがらにも素敵なお庭を拝見していると案内してくれた地元の方と四方山話をして、すっかりローカル気分に浸れました。

まずは池永さんのお庭に訪問すると、奥様がアニメ銀河鉄道999が大好きでご主人に製作をお願いした列車の花箱がお出迎え。「ご近所からは電車のある家と呼ばれているけれど、鉄ちゃんではなくて、メーテルと星野鉄郎のスリーナインの方なのよと語ります。

池永さんのお庭。アニメ銀河鉄道999をイメージして製作をお願いした列車の花箱。

「恵み野の庭作りコミュニティでは新参者です」と謙遜する池田さんのお宅がユニークなのは80種類のバラに囲まれている事で、今ではバラ教室の講師を務めるほど。長年、人事を担当したサラリーマン時代の経験を活かしてバラのデータベース化を徹底的に行い、「査定次第では庭からリストラします」とにこやかに笑う横で選び抜かれた薔薇たちが咲き誇ります。特に一株が外壁に立ち昇る様子は圧巻で、近所の小学生も通学の途中に立ち寄るという人気エリアぶりで、庭のミントや摘んだバラの花をお土産に頂き、すっかり北海道の大地に移り住もうかなとこぼすと、「土地はたっぷりありますからどうぞ」と移住の先輩としても頼もしい相談相手になってくれそうで、またの来訪を誓いました。

バラの一株が外壁に立ち昇る様子は圧巻。

お花の素敵な「花カフェきゃろっと」ではオーナーの内倉真裕美さんがNPO法人ガーデンアイランド北海道の副理事長も務められているので、自家焙煎のコーヒーで喉を潤すのにぴったりです。

「花カフェきゃろっと」の自家焙煎コーヒー

週末はばんけいの森でツリーハウスをDIYしよう!

札幌市内から最寄りのスキー場として人気のばんけいの森に約20ヘクタールのツリーハウスライフを楽しめる秘密基地があるというので、「にむ倶楽部」代表の横山さんにお話を伺いました。横山さんは日本でも有数のツリーハウスのビルダーで、日本では一軒ツリーハウスを建てるのも大変なのに、既に何軒も建てています。60歳を越して、なお森との共生の最新技術を求めにアメリカのオレゴン州に修行に行くなど、チャレンジを続けているパイオニアです。

ばんけいの森でツリーハウスをDIY

広大な敷地といえどもツリーハウスを支える針葉樹がうまくそろ揃う場所がないと造れないといいますが、立ち並ぶ木立に溶け込んだハウスは見るからに冒険心をそそる構造をしていて、「週末になると会員が集まり、ツリーハウスをつくり、地上10メートルの飲み会を楽しんでいるんですよ」と案内してもらいました。次の構想はツリーハウス同士をつなぐ樹上の橋を架ける事と夢を聞かせて貰いました。道内に住まない旅人会員制度もあるので、ツリーハウスをつくりたい人は、是非、横山さんに連絡をとってみてください。

ツリーハウスの内装

北海道の美食を堪能しよう!

北海道と言えば日本の中でも食料自給率の高さで有数の自治体ですが、ただ地産地消を謳うのではなく、ハイクオリティの農産物作りと共に、ユニークかつ世界水準で美食家の間に名の知られたレストランが次々に生まれています。

「ミシュランガイド北海道版」で三つ星の評価を得たモリエール

今回は「ミシュランガイド北海道版」で三つ星の評価を得たモリエールで夏のご馳走をいただきました。円山公園の程近い住宅街にひっそりと佇むフレンチレストランにはにこやかなスタッフがお出迎え。この季節に最高の食材を使った「北海道」コースはシャンパンを勧められて啜っている間にホタテのフリットがアツアツのところを直に手でつまんで食べるように促されるなど、五感で愉しめるような工夫をスタッフやソムリエが話しかけてきて、コースの説明をしていくので、どのテーブルも賑やか。

ホタテのフリット

「ミシュランの調査員が来た際にも、後日あいさつに来て、評価基準の一つは他のテーブルでも客が楽しんでいるかというものがあると言われたんですよ」というだけあって、最高峰のフレンチをかしこまる事なく、味わうことができる。旬の北寄貝の殻をはずすとリゾットが現れ、十勝牛のステーキは針葉樹を敷き詰めた上で供され、最後まで香りや視覚をゆすぶる。デザートの一つとして甘い南陽種のさくらんぼを飾る緑の葉は、レストランの外の街路樹の葉を摘んできたと舞台裏を明かすように、いかにも北海道という見せ方はしたくないというコンセプトに貫かれたコースだ。

十勝牛のステーキは針葉樹を敷き詰めた上で供される

南陽種のさくらんぼを飾る緑の葉

この時期の札幌は、大通公園の巨大ビアガーデンでビールの飲み比べするのもよいのだが、おすすめされた居酒屋「こなから」に足を進める。旬のおすすめが並ぶ品書きから刺身盛や、とうもろこしのかきあげ、牡蠣のオイル漬けなどの定番と思われる人気メニューを注文に入れる声が活気よく、自分たちは最後の〆に「サバサンド」を頼んだら、最後のつもりがまたビールを飲みたくなって頼んでしまった逸品だ。締めサバがわさびを塗ったパンにサンドイッチになって山盛りに出てくるのが、ビールと交互に頬張りながら不思議にあっという間になくなっていた。予約は必須の名店だ。

「サバサンド」

居酒屋「こなから」のビール