真夏に、エアコンをギンギンに効かせて鍋料理をいただく。なんとも粋じゃないか。江戸時代などでは考えられない食事風景だ。そこに冷たいお酒をあわせる。考えただけでも、生唾もの。これは現代人だけの特権である。思い立ったが吉日。早速実行しよう。
さて、この日、なかなかりっぱな『金目鯛』が手に入った。鍋の主役はこれにする。『金目鯛のしゃぶしゃぶ』。これがメニューだ!さあ、宴をはじめよう!
まずは鍋の土台を作る。昆布でじっくりと出汁をとった鍋に金目鯛のアラを豪快に放り込む。アラからもいい出汁が出るし、アラについている肉も美味しくいただける。金目鯛が煮あがりかけたところに、野菜や豆腐などの具材を入れる。そしてひと煮立ちすれば出来上がり。
早速いただく。金目鯛は一年中いただける魚。しかしながら、旬は冬。じゃぁ、この時期の金目鯛はいかがなものか……?
なんのなんの、結構いける。脂ものっており、旨みも充分。癖のない身は、野菜や昆布のエキスを吸って旨みが倍増する。
さあ、酒をあわせよう。まずはクラフトビールから……。大企業がつくった地ビール。サントリーの『ゴールデンエール』だ。このビール、白ワインの香りを併せ持った優しい味わい。魚料理にはぴったりのはず。早速いただく。
ほんのりと白ワインの香りとフルーティーな旨みが口中に拡がる。これはいい! 普段飲むビールにはない甘みがある。もちろん金目鯛にもフィットする。真夏の熱い鍋に、冷たいビール。最高の組み合わせだ!
さあ、ここで主役の登場。『金目鯛のしゃぶしゃぶ』に使う切り身。
実に艶やか! 脂も充分にのっている。これをポン酢でいただく。
刺身でもいただける身である。さっと一度だけ出汁にくぐらせていただくもよし、ゆっくりと出汁につけていただくもよし。まずは、ゆっくりと熱を通していただいてみよう。
ポン酢につけていただく。旨い! 金目鯛は熱を加えると甘みが増す。金目鯛の香りが鼻腔に抜け、旨みが充満する。それを包みあげるポン酢がいいアクセントとなる。
次に、さっと一度だけ出汁にくぐらせ、生に近い状態でいただく。これもまた旨し! 食感が良く、刺身のタタキをいただいているよう……。金目鯛の身そのもののお味が楽しめ、これはこれで別の食べ物になる。どちらも捨てがたし!
このしゃぶしゃぶにあわせるお酒は日本酒カクテル。その名も『サムライロック』。
このカクテルは、日本酒3に対して、ライムを1の割合で混ぜたもの。そこに氷を浮かべれば完成。自家製でもこうして簡単にできるのだが、この日は、月桂冠が発売する『サムライロック』で楽しむことにする。すでにカクテルとして販売されているこの一杯に、彩りよくライムの切り身を飾る。
さっそく飲もう。実に爽やか!! 日本酒の持つ旨みを持たせたまま、爽やか感を前面に押し出している。日本酒の癖のあるトロミが見事に拭い去られている。夏の鍋にピッタリだ。
金目鯛も、このお酒の中で生まれ変わる。金目鯛の旨みが爽やかな旨みに変身するのだ。このカクテル、実に飲みやすい。一本ぐらいあっという間であろう。ライムと日本酒がこれほどまでにあうとは思わなかった。『サムライロック』に脱帽!
金目鯛のしゃぶしゃぶも全てを食べつくし、『サムライロック』も空いてしまった。で、最後の仕上げは雑炊。金目鯛や野菜たちのエキスがにじみ出た出汁は最高のスープ。これを雑炊に仕上げる。
もはや特に解説はいらないだろう。とにかく美味いのだ! あらゆる具材のエキスが染みわたり、表現が出来ない程の美味しさだ! 鍋の雑炊はよくやるが、この金目鯛の雑炊は特別である。異次元の旨さだ。それだけ金目鯛の旨みが滲み出ているということか……。
真夏の鍋と日本酒カクテルの宴。最高であった。鍋の美味さを再認識するとともに、クラフトビールや日本酒カクテルという素晴らしい世界との出会いもあった。この素敵すぎる夏に乾杯だ!!