【業界を揺るがす禁断のテスト?】ブラックニッカにミズナラスティックを入れると、あの限定ウイスキー「ブレンダーズスピリット」になるのか?

編集長Dである。最近私のプライベート(というかただ飲んでいる様子だが)が勝手に記事化され、皆さんのSNSのタイムラインを汚しているが、まったくこの編集部の思考からは個人情報の保護などという観念がごっそり抜け落ちているようで、記事ネタを確保するために私の肝臓と胃腸は保護されても、肝心の私という人格そのものには基本的人権がないらしい。やれやれである。それでまあ、さらにヤケ酒の杯を重ねるわけだが。

さて、この前の記事でミズナラスティックをブラックニッカのボトルに入れていろいろ変化を比べたが、その実験中に、実はふとあることに思い当たっていた。

ブラックニッカ……といえば、編集部に確かもう1本あったではないか。

そうそう、これこれ。

「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」。弊サイトでも以前取り上げたが、ブラックニッカの発売60周年を記念してつくられたスペシャルブレンドである。2016年の秋に数量限定で販売したところ人気過ぎてすぐ完売となり、好評につき今年の春に再発売になったという、なんとも華々しいウイスキーだ。

で、何を思いついたかというと、ひょっとして、ほんとにひょっとしてだが、ブラックニッカ(ノーマル)にミズナラスティックを入れると、「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」になる(まあ「なる」まではいかなくても「かなり接近する」)んじゃないか?……という、ある意味禁断の、業界を震撼させかねない問題提起なのであった。

まあ問題提起というか、ただの興味本位、“過ぎたお戯れ”というやつなのだがね。

というわけで思い立ったら早速検証!

味見する前に、まずは「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」のプロフィールをおさらいしておこう(酒を見るや秒速で口をつけていた頃からすると、ずいぶんと成長したものじゃないか)。

ブレンドする原酒にとにかくこだわりのあるウイスキーだ。初代のブラックニッカが発売された1956年に北海道・余市で蒸溜されたモルト原酒、1999年以前に西宮の工場にあったカフェ式蒸溜機で蒸溜されたグレーン原酒など、マニアックな希少原酒を一部使用している。61年の歴史の集大成となるにふさわしい仕上がりになっている。

ではうんちくもしっかりお伝えしたので、ここからは秒速で口をつけるとしよう。チビリ、チビチビ……。

やっぱりノーマルのブラックニッカに比べると味わいの熟成感が違う。まず感じられるのは甘さだ。バニラアイス系のわかりやすい甘さというよりは、濃厚なチョコレートのような、奥の方から時間差で出てくる甘さ。

ノーマルに比べると数段深くなるというのが「ブレンダーズスピリット」の特徴だろう。全体にフレッシュな若さ(裏を返せば“青さ”)がいい意味で抜けて、落ち着いた熟練感がまろやかに漂う。確かに限定感のあるテイストだ。

だが、「落ち着いた」「まろやか」ということであれば、我らがミズナラスティックもいい味を出す。では“棒熟成”バージョンのブラックニッカは、果たして「ブレンダーズスピリット」になれるのか?か?

禁断の(?)結果発表!

さて、ノーマルのブラックニッカにミズナラスティックを入れたボトル。「ブレンダーズスピリット」にどこまで肉薄できるのか?

チビリ、チビチビ……。味が深くなるというのは、まあ、確かに似たところが感じられる。これは他のウイスキーの場合でも言えることだが、華やかだったり、わりと強く明快に出ていたりするキャラクターは、“棒熟成”によって総じて落ち着く。角が取れてまるくなり、結果的に円熟味が増すイメージだ。

だが、同じ落ち着きといっても、やっぱり「ブレンダーズスピリット」とはちょっと方向が違うかもしれない。ミズナラスティック入りは、味わいの重みが増すといっても、それはいい感じに鈍さのある「ウッディーな感じ」だ。対して「ブレンダーズスピリット」の方は、チョコレートのような甘味を伴う濃厚さだった。

そして何よりの違いは、「ブレンダーズスピリット」には(おそらく余市蒸溜所の原酒由来のものと思うが)ピート香の煙たさがある。ピートの独特のスモーキーさというのは、“棒熟成”とはちょっと違うベクトルだ。

ということで、結論としてはブラックニッカ(ノーマル)にミズナラスティックを入れても、(それはそれでうまくなるが)「ブレンダーズスピリット」には“ならない”。業界に激震が走ることはなかった(やや安堵)。

が、まだ疑問は残っている。「ブレンダーズスピリット」にミズナラスティックを入れるとどうなるのか?……これについては、皆さんの手と舌と喉と胃腸と肝臓に委ねたい。ミズナラスティックはこちらでゲットできるので、チャンスがあれば試してみてはいかがだろうか。