雨の日にしっとり飲みたい キッチンでこっそり楽しむマッコリとイカフェ

古くから愛されている大衆酒

雨が降り始めると、飲みたくなるお酒がある。白くて甘くて少し酸っぱくて。そう、韓国の濁り酒マッコリだ。ちなみに、冒頭の「雨が降り始めると」のくだりは私ではなく、韓国の友人談だけれど。

一昔前までは限られたお店でしか手に入らなったマッコリも、今や近所のスーパーでも手軽に買えるようになった。つい先日も、夕飯の買い物ついでに寄ったスーパーで「ソウルマッコリ」を見つけ、ちょっぴり驚き買い物かごへ。これまた運命のように、店頭で新鮮なイカに出合ったので、これも即買い物かごへ。これは雨の神様からの、自宅でしっとり飲みなさいとの啓示ですね、きっと。

マッコリは別名「農酒」とも呼ばれる、古くから朝鮮半島に伝わる大衆酒だ。農作業の合間によく呑まれていたことから、このような別名がついたという。米や小麦に麹と水を混ぜて発酵させたこのお酒の特徴は、なんといっても白濁した色とその甘味。トロリとした甘さが一口飲むとクセになってしまい、気が付くと盃が空っぽになっている。

ただ甘いだけなら口が持たないのだけど、今回入手した「ソウルマッコリ」は、微量の炭酸入り。シュワシュワした優しい刺激が程良いアクセントになって、甘いのに口がスッキリする。そして、乳酸菌が存分に活躍しているのか、アルコール版ヤクルトを飲んでいるような飲みやすさで、つい腰に手をあてた健康ポーズで飲み干してしまいそうになる。まったくお酒らしくない、素敵な味わいなのだ。

ピリ辛イカフェとの絶妙コンビ

ピリ辛イカフェとの絶妙コンビ

そんなマッコリを片手に、さっそく今日のお楽しみ、イカを取り出す。生でもかぶりつきたくなるほどプリプリおいしそうだけれど、まずは内臓を取り除くまでガマン。すっかり綺麗にしたイカに、コチュジャン、味噌、砂糖、にんにくのすりおろしをよく混ぜたタレであえてみると、韓国料理店でよく見かける「イカフェ」の出来上がりだ。

甘いマッコリと、コチュジャンのピリ辛が効いた新鮮なイカフェ。このふたつをキッチン調理台の傍らに置き、ゴクリパクリを繰り返す。夕飯の一品を煮込んでいる間にゴクリパクリ、灰汁を取り終わったところで、さらにもう一度。そのうち気が付いた。これは、パクリゴクリの方がおいしい!

辛さでいじめられた舌を、やさしく包み込むマッコリのトロリが絶妙で、パクリゴクリトロリを3巡ほどしたところで、イカフェもマッコリも空っぽになってしまった。

栄養・美容に効果大がうれしい

夕飯を作りながらの幸せなひととき。ほろ酔い状態で味付けを試みたおかずたちも、そろそろ完成に近付いている。コトコト鳴るお鍋を横目に、何気なくマッコリのボトルを見やると、「乳酸菌」の他に、「たんぱく質」の文字が目に飛び込んできた。他にも、ビタミンBや必須アミノ酸など、他のお酒に比べ栄養素を多く含むのがマッコリなのだった。米から作られた上に、発酵という強烈アイテムが加わったお酒ゆえ、栄養・美容面での万端なケアがうれしい。

しかも、今回おつまみにしたイカは、タウリンが豊富に含まれていることでも有名。特に疲れた肝臓などに効果が高く、二日酔い予防や疲労回復を促す成分として、栄養ドリンクやサプリも数多く出回っているぐらいだ。

飲んでキレイになり、飲み終わって体の面倒を見てくれる。マッコリとイカに、そして今日この組み合わせを見立てた自分にバンザイ。

ちなみに、雨が降ったらマッコリを飲みたくなる理由、それは雨の時は農作業が休みになり、家で杯を傾ける時間が増えるからだとか。その名残で今でも韓国は、雨とマッコリの関連が深いらしい。

大昔から親しまれてきた身近なお酒、マッコリ。これからの梅雨の季節、パラパラ降る雨音でも聞きながら、夕方のマッコリとイカフェを楽しむのも悪くないかもしれない。