【編集長D史上最高のグレーン原酒かも?(後編)】キリンのウイスキー「富士山麓」のマスターブレンダーが“直伝”するマリアージュとは?

編集長Dである。さて以前の記事で、キリンのウイスキー「富士山麓」に開眼した話を書いたが、普段は脇役のグレーン原酒をフィーチャーした内容がまま好評だったようなので、その続き(というか積み残した内容)を少々。

前記事では、東京・六本木の東京ミッドタウンで開催されたイベントで、編集長Dが「富士山麓」(特にそのグレーン原酒)の魅力に魂と肝臓をわしづかみにされた話を書いた。で、本記事では「富士山麓」の商品ラインナップと、フードマリアージュについてまとめてみたい。マリアージュは今後の家飲みシーンでも十分に参考になると思われる。

あ、なおキリンの「富士山麓」がそもそもどんなウイスキーなのかという基本知識については、上記の前記事を参照いただきたい。

「富士山麓」の代表的ボトルをひとまずおさえておこう

まず「富士山麓」の主な商品ラインナップを3本ほど。ちなみにこの3本、六本木のイベントのときに飲み比べセットとして出されていたメンバーだ。

1本目は「富士山麓 樽熟原酒50°」。ブランドを代表する定番のブレンドで、「樽出しに近い味わい」にこだわっており、奥深い味わいとまろやかな甘味、豊かな樽熟香とフルーティーで華やかな香り、そしてカカオ的な香ばしさがバランスよく混じり合っている。飲み方も様々なスタイルで楽しめる仕上がりだ。

2本目は「富士山麓 Signature Blend」。熟成のピークを迎えた原酒を厳選してブレンドしているスペシャリティーのある一本。洋梨やオレンジピールのような果実香や、黒糖のような甘味など、複層的で円熟した味わいが楽しめる。どちらかというとストレートやロックに合うブレンドだ。

最後が「富士山麓 ブレンデッド 18年 2016」。18年以上熟成させた希少なグレーン原酒に、長期熟成モルトをブレンド。ジャムを思わせる甘美なフレーバーに、タルトやガレットのような香ばしさ、そしてウッディな後味が一体となった、複雑で芳醇な一本。ぜひ最初は氷を入れない飲み方(ストレートか加水のみ)で味わってほしい。

ちなみに最後の「富士山麓 ブレンデッド 18年 2016」は、世界的な酒類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2017」で金賞を受賞している折り紙付きだ。

マスターブレンダー直伝のマリアージュはアレとアレと……

さて、そんな「富士山麓」だが、どんなつまみと一緒に楽しむのが良いのか。そのマリアージュについては、なんとウイスキーの作り手ご本人が推奨しているものがある。

その“ご本人”がこちら、「富士山麓」のマスターブレンダーである田中城太氏。今年、世界的なウイスキーアワードである「アイコンズ・オブ・ウイスキー2017」で「マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、いわば“世界最優秀ブレンダー”なのだ。

そんな田中氏が六本木のイベント時におすすめしていたおつまみメニュー、まずはオレンジピール。

特にヘビータイプのグレーン原酒が持つ柑橘的なフレーバーによく調和する一品。ほど良い酸味がアクセントになる。オレンジピール入りのドライフルーツや、さらに洒落込んでショコラオランジュなんかも合う、と田中氏。

さて続いては黒糖羊羹。

以前に書いたウイスキー特集の記事で、イチローズモルトにはあんこ、あるいは羊羹が合うと述べたが、やはりジャパニーズウイスキーにはチョコよりも羊羹なんじゃないかとひそかに思っている。しかし、さらに材料を黒糖に絞ってきたあたり、さすがはマスターブレンダー。「富士山麓 Signature Blend」に現れるような黒糖的な甘さとの相性を考えてのことであろう。

そして最後がこれ、ニシンの昆布巻き。

特に田中氏がベタ推ししていたのが“昆布”である。ウイスキーと口の中で出会ったとたんに、互いの旨味が一気に広がるという「驚きのマリアージュ」だ。これは試す価値大である。

ちなみにこのほかで田中氏がおすすめしていたのは、ごぼう、大根、ニンジンなど根菜の煮付け、筑前煮などだ。やはり和の味付けが合うのかもしれない。

とうことで、知るほどに面白味が見えてくるウイスキー「富士山麓」。マスターブレンダー直伝のマリアージュも参考にしながら、ちびちびと飲み比べ、いかがだろうか。