【210組み合わせ全査定に挑戦】ジャパニーズウイスキーに合うツマミを独断せよ(7)

【第1位「かまぼこ」】

第1位「かまぼこ」

海を泳いでいたのはいつの日か。かまぼこの磯くささは、薄れかけた記憶に似てはかない。複雑なウイスキーでは、簡単に書き換えられてしまう。おぼろげな「潮気」に手を差し伸べられるのは、WLのシンプルな「塩気」だけだ。そして二人は、あの日の海へと旅に出る……。

【総評と番外ツマミ】

邪念を捨て、自我をコントロールし、清貧の極致に静かに座す禅僧。その姿がイチローズWLにはダブる。真っ直ぐで裏表のないドライテイストは、引き出しの乏しさではなく「膨大な削ぎ落としと絞り込み」の結果であり、簡素だが奥深い。贅沢な断捨離の果てに体得した塩味は、何の変哲もない「シーチキン」や「納豆」の中にこそ自らの居場所を見出す(これがまた禅宗的)。缶詰や瓶物の過剰な味付けには厳しい自制心から距離を置くが、比較的節制された「合鴨スモーク缶詰」や「レバーペースト」には心を許す。

次はいよいよラスト(8)「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」のベストマッチへ!