ハンバーグは老若男女、誰もが好きなメニューの一つ。肉を練り、玉葱・小麦粉などを混ぜ、香辛料を加え、焼いたり蒸したりするだけのお料理なのだが、その奥は深い。肉の質、そして加える具材・香辛料や焼き具合で美味しさは全く違ってくる。噛んだ時の肉汁、口中に拡がる肉の香りや旨みの出方が、その作り方で異なってくるのだ。
しかし、ハンバーグの味を決める大事な要素が別にある。それはソース。最後にハンバーグの味を決定するのはソースとなる。ソースによって全く違った料理に変身するのだ。
今回のテーマは、美味しく調理されたハンバーグを3種類のソースでいただき、その味の変化を確かめること。そしてもちろん、それにあうアルコールのチョイスも重要なミッションだ。
まずは、オーソドックスにデミグラソースで調理されたハンバーグをいただく。定番の美味さだ! 肉汁の旨みと香りが、酸味と甘みを持った濃厚なソースに包まれる。このデミグラソースのお味が重要なのである。
単にケチャップを主体に煮込んだものでは、ハンバーグが活きてこない。時間をかけて色々な具材を煮込んだ濃厚なコクのあるソースでないと駄目である。
濃厚なコクで旨みが引き出されたデミグラソースのハンバーグにあわせるお酒は、ビールとしよう。普段から一番飲み慣れているお酒だ。
炭酸が喉越しよく、ハンバーグを心地よく流し込んでくれる。麦芽の香りとデミグラソースの酸味が上手くマッチする。これは、「ハンバーガー」とビールの組み合わせに通ずるものである。鉄板の組み合わせではないだろうか? 最高である!
続いていただくのは、トマトソースとチーズで化粧されたハンバーグ。定番のデミグラソースもいいが、これはこれで美味い! 肉の旨みに、トマトソースの酸味と濃厚なチーズの香りが融合する。肉が主体のピザをいただいているような感もする。イタリアンなハンバーグの誕生である。
さて、このハンバーグにあわせるお酒は何としよう? イタリアンなメニューとくればやはりワインだろうか。それも濃厚な赤ワイン。早速いただいてみよう。
酸味の強いフルーティーな赤ワインが、チーズのコクとトマトの甘酸っぱさを見事に包み込む。料理の旨みの余韻は残しつつも、口の中を綺麗に仕上げてくれる。やはり、肉料理、それも濃厚な味付けに赤ワインはピッタリだ。
最後にいただくのは、たっぷりのチーズでコーティングされたハンバーグ。ハンバーグも三個目となると、少々お腹にもたれてくる。そこにきて、濃厚チーズのハンバーグである。はたして……。
一口いく。美味い! これが決して重くないのである。チーズといっても単にチーズそのものでなく、ソース仕立てなので優しいお味になっている。ホワイトソース仕立て、と言えば解りやすいだろう。
チーズに包まれたお肉は、旨みが増し、優しい甘みが溢れ出る。チーズのコクと肉の旨みが見事に融和した逸品である。
このハンバーグにあわせるのは、シュワシュワ感溢れるハイボール!
チーズのコクと肉の旨みを炭酸が見事に流し込んでくれる。これは強炭酸のものでないと駄目だ。口の中をさっぱりさせてくれるものが、次の一口をより美味しくしてくれるからだ。ハイボールが実にいい仕事をしてくれる!
3つのハンバーグを試してみたが、それぞれに違う個性の際立つお味であった。デミグラソースは定番のお味でハンバーグの王道であったし、イタリアンハンバーグはピザ的な派手さというか“濃さ”が前面に出ていた。そしてホワイトソース仕立てのチーズハンバーグは、優しいまったり感が幸せな気分を運んできてくれる逸品。
それぞれ持ち味が充分出ていて、どれもが美味し!……である。さらに、それらにあわせたお酒もベストマッチ。ビール、赤ワイン、ハイボールと、それぞれがいい仕事をしてくれた。
美味しいハンバーグの味の変化を確かめながら一杯やる……、自分にとっては素晴らしい企画であった。ただ、大きいハンバーグ3個は少々食べ過ぎの感がしないでもない。食欲の秋もまだ先は長い。ここは少し節制しないといけないだろう……。