【西の地酒と旬のアテ(一) 】京都産の原料にこだわった銘酒「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」と、昆布の旨みを魚や春野菜に移す「鯛と春野菜の昆布〆」で春の一献。

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京都の酒屋が薦める西日本の銘酒と、季節感を盛り込み家庭でも簡単に作れる酒肴を合わせてご紹介します。

京都・北川本家「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」
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鯛と春野菜の昆布〆

原料はすべて京都産、やわらかな味わいの万能酒。

今回お薦めするお酒は、京都の酒どころ・伏見にある『北川本家』の「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」。

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『北川本家』は、350年以上の歴史を持つ老舗の酒蔵です。古来、伏見は名水に恵まれた土地だったため酒造りが盛んで、その水質ゆえに柔らかな酒が仕上がることから「伏見の女酒」と呼ばれてきました。ちなみに、同じく関西の酒どころとして知られる神戸の灘地区では硬水を用いるため、「灘の男酒」と対比されています。

「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」の仕込みにも、地元の名水「伏水」を使用。水のみならず、酒米や酵母も京都産のものをと、京都府の北部・綾部にある『丹州河北農園』でなるべく農薬を使わずに栽培した山田錦だけを原料に、酵母も京都独自の「京の琴」を用いています。

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味わいはとても優しく、お米の甘味と香りが馥郁と感じられます。どんな料理にも寄り添う万能な1本として重宝間違いなしです。

昆布の旨みを素材に移して味わいを増幅。

お米の旨みを感じるお酒に合わせたのは、同じく旨み成分をもった昆布を使う一品。寝かせる時間を除けば10分もかからずに仕込めるお手軽さも魅力です。

<材料>2人前

  • 昆布……適量(幅約6cm、長さ約12cmの昆布の場合、5枚目安)
  • 刺身用の鯛……半身
  • 菜の花……4本
  • ウド……1/4本
  • 天然塩……適量

<作り方>

【1】昆布の表面を絞った布巾で軽く拭く。
【2】鯛は刺身用にカットしてある場合はそのまま、柵の場合は厚さ5mmほどに切る。菜の花は少量の水を振り電子レンジ500wで1分加熱し、冷ましておく。ウドは皮を剥いて短冊切りにする。それぞれの素材両面にうっすらと塩を振る。
【3】(2)を素材別に昆布ではさみ、ぴっちりとラップで覆い、冷蔵庫で半日〜3日寝かせる。

<ポイント>

  • 寝かせる時間はお好みで。半日だとほんのり昆布の香りがする感じで、3日めになると鯛が飴色になり風味がグッと増す。
  • 昆布と塩の味だけでも充分旨いが、好みでワサビ醤油や柚子胡椒を添えても。
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写真は3日間寝かせたもの。昆布がねばり気を増してラップを開けた瞬間から香りが立ちました。淡白で繊細な味の鯛に昆布の旨みが移り、噛むほどに甘味を感じます。

2つの甘味が出合って口中に幸せを呼ぶ。

「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」をまずはひや(常温)で合わせると、お米と鯛、それぞれの甘味の相乗効果でなんとも豊かな味わいに。

ぬるめの燗をつけてみると、ほどよい酸味がたってまた違った表情をみせます。こちらは、菜の花のほろ苦さや、ウドの野趣にぴったり。ウドの皮をきんぴらにしておいたものもいい酒肴です。鯛の身でくるっと巻いて食してみたら、思いがけず素晴らしいマッチングでした。

昆布〆は、鯛以外の白身魚や、アスパラガス、長芋といったほかの野菜でも美味しくできます。「週末は呑むぞ!」と決めた週は、早めに仕込んでおくといいですね。

◎お酒データ
「富翁 丹州山田錦 純米吟醸」(とみお たんしゅうやまだにしき じゅんまいぎんじょう)
アルコール度数 15度
精米歩合 55%

◎お酒のセレクト&販売
お酒のトミナガ
住所:京都府京都市上京区上ノ下立売通御前通西入大宮町478
電話番号:075-464-0002
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