【マスターブリュワー直撃シリーズ、エピソード(4)】「ホップ三部作」前編! クラフトビールに“きれいな”苦み?

ホップの個性を狙い通りに引き出す“秘技”

3つのホップのうち、煮沸の段階で入れるのは2種類。リトルスターとザーツ。まずリトルスターを煮沸のスタート時から入れます。これで苦みをしっかり引き出すわけですね。ザーツは煮沸が終わったすぐ後、まだ熱い段階で投入。不要な香りを余熱でほど良く飛ばしながら、「ファインアロマホップ」であるザーツ特有の香りをしっかりつけることができます。

「リトルスターとザーツは、本来はピルスナータイプのような伝統的できれいな香りが特徴のビールに使われるホップで、IPAにはあまり入れません。しかし『香り踊るジャグリングIPA』はクラフトビール初心者の方にも楽しんでもらえる味わいを目指したので、爽やかで洗練されて安定感のある“いわゆるビール”の要素をしっかり出すために、あえて定番どころのホップを使って風味のベースラインをつくっています」

そのベースの上に、満を持して登場するのが3番目のホップ、カスケード。これはIPAにはよく使われる、というより今の北米でのIPAブームに火をつけた、“ザッツIPA”的なフレーバーホップなんですねえ。それを今回は「独自のドライホッピング製法」なる特別な方法でもって添加しているとのこと。ドライホッピング?ジェダイの秘技か何かですかね。

「マスターブリュワー」新井健司(あらい・たけし)さん

「ドライホッピングは、麦汁の煮沸が終わった後でホップを入れる手法です。その中でもまたいろいろタイミングの違いがあるのですが、当社で採用した独自のドライホッピングは『煮沸の後、発酵の前』でカスケードを入れるというもの。煮沸後の麦汁の温度が下がり、酵母が発酵できる10~20度くらいになった段階で添加します。低温なので苦みの成分はあまり出てきませんが、一方で香りは飛ばされることなく、じっくりじっくりと染み出てきます」

これによって“ザッツIPA”カスケードの香りだけをうまいことピックアップしているわけですね。定番ピルスナー風のベースラインの上にちゃんとIPAのアイデンティティを定着させるという、絶妙なバランスの商品キャラクター構成。さすがです。ガーサスです。ジェダイとは関係なさそうですが、やっぱり秘技には違いなさそうですねえ。感じます、フォース。

そして“伝説”へ……?