【たまにはお勉強】「ビール」と「ブランディング」の幸福な関係……からの、新ブランド「Innovative Brewer」考察

更新:2018年02月05日

「もうカテゴリーとか、よくないすか?」

さてマスターブリュワー新井さんの登場である。話はジャパンプレミアムブリュー(以下JPB)社の立ち上げに始まり、現在までの試行錯誤の経緯が語られた。

本日の流れ

新井さんは元々サッポロビール(JPBの親会社である)で醸造に携わっていたが、2014年に「新価値開発部」という新しいビールカテゴリーを創出するためのチームに加わり、ここが母体となって2015年にJPBが別会社として誕生した。このとき新会社のマスターブリュワー(ビールづくりの”総監督”である)として白羽の矢を立てられたのが新井さんだったのだ。

まずJPBが取り組んだのが「ナショナルクラフト」というポジショニングだった。サッポロビールのナショナルブランドとしての技術・ノウハウがバックボーンとしてあるからこそ作れるクラフトビールがあるのではないか、という考えがそこにはあった。同時に既存のクラフトビールを「少しマニアック過ぎてよくわからん」と感じる”ライト層”に対しても選んでもらえるようなビールを作ろう、という思いもあった。このあたりの格闘の記録もこちらに記事がアーカイブされている→ http://c2h5oh.jp/category/tsukurite-omoi/

ところがこの試行錯誤の中で、思わぬ発見があったという。それは「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE」という商品を開発・発売したときのことだった。これはサッポロビールが育種開発した”異端児”的(あるいは”伝説”的)ホップ「ソラチエース」の個性を最高の形で引き出した一品なのだが(この話も記事になっている→ http://c2h5oh.jp/beer-craftlabel-interview6/)、これが非常に好評を博した。

ソラチエース

ソラチエースは既に他のクラフトビールなどには使われており(その人気に火が付いたのはアメリカである)、ビール好きの間では知られた存在だったのだが、「生みの親」がついに「自らの手で」我が子のための完璧な舞台を用意してやったという”ついに感”が、飲み手の心をワシづかみにしたわけである。つまり「うまい関係づくり」がここでは成功した。

そこで新井さんをはじめJPBのメンバーは気づくのだ。「新鮮な驚きと楽しさ」という、いたってシンプルな価値こそがビールには必要だし、ユーザーも求めている。そして、結局それを作りたくて、JPBは生まれたのではなかったか。

そしてこのような境地に達する。「既存のカテゴリーに当てはめても新鮮な驚きが作り出せないなら、もうナショナルとかクラフトとかのカテゴライズ、よくないすか」。○○ビールという分類から入らず、純粋に「うまい」(新井さんの表現を借りれば「2杯目に行きたくなる」)ものを本気で作ろう、というある種の常識破壊である。

ジャパンプレミアムブリュー社のマスターブリュワー、新井健司さん。

新ブランド「Innovative Brewer」は、そうした破壊的意志から生まれた。そのものズバリ、「イノベーティブ=創造的破壊」というわけである。想像してほしい、大手メーカーとして培ってきた技術・ノウハウを持った集団が、本気で常識破壊を始めたらどうなるか。パンクではないか、ロックではないか、ワクワクするじゃないか。

「Innovative Brewer」を飲んでみよう
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